saison de karo 46

書を置いて開かずにあり春炬燵 高浜虚子

こたつ3


「何しとんねん、いま。」
西宮の長男の電話である。
うるさいったらない。

春寒、というのか、早春の宵は膝もうすらさむい。
私は暖房を弱にして、町着のオレンジ色のスーツを脱ぐ。
ついさっきまで、趣味のお花のグループと食事をして帰ってきたばかりである。
やわらかいシルクウールの室内着。
香りは、今夜はジャン・バトウのオードトワレよりも、京都の松栄堂の「芳輪」にしよう。
香炉にくゆらせて、私は和室の炬燵にはいり、その上で手習いをする。

こたつ 香炉1

今夜は

かすみたつ春の山辺は遠けれど吹きくる風は花の香ぞする  在原元方

『古今集』春の巻のうた。

こたつ うめ

漂うお香の良いにおいをかぎ、身にまとう室内着はパステルカラーのあまい水色。ボタンは銀のハート型。
一人ぐらしでも、春には春の服をまといたいではないか。


こたつ ボタン


こたつ ワンピース






『論語』のなかの私の好きなくだり。

「暮春には春服すでに成る。」

孔子の弟子たちが各々一国を指導する夢を語る。
ところが、ひとりの弟子ばかりは、

「私の夢は小さいのです。
春には春服をととのえて若者や童子たちもまじえて川のほとりを春風にふかれながら、 歌って帰りましょう。」と話す。

孔子はため息をもらし、言われた。

「私も同じだよ。」

こたつ なのはな


そこへ、
「何しとんねん、いま。」
五十七になる息子のうるさいことといったら・・・。
「いろいろ考えごとしてますのや。ひとくちでいわれへんし、いうても他人にわからん。」
「・・・・・・。」
            田辺聖子『姥勝手』


ねこ 寝正月3

ゲスト 炬燵ねこちゃん




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お久しぶりです! from ovni | URL | 2012/03/11 Sun 18:15 [EDIT]
もう、最初の出だしから、これは、聖子さんってわかりました。

いつもこの方の、自分で自分を鼓舞するような生き方、暮らし方が好きです。

「人生はだましだましゆくのがよい」という風なことをいつもいっておられて、、

へこんだとき、こういうことばを思い出さればいいのですが、そういうときは、なぜか思い出せないのですよねえ。

もうずいぶん前に、聖子さんのお話を聞いたことがあります。

会場にきておられた方が、みなさんすごく知的な女性が多いのに驚きまし

た。


こんにちは! from カロ | URL | 2012/03/12 Mon 14:33 [EDIT]
ovniさま

 春めいたと思えば、すぐに寒くなり・・・お元気でしょうか。

 田辺聖子さんの「歌子さんシリーズ」は、ヒロイン76才の『姥ざかり』を皮切りに、

 『姥ときめき』『姥うかれ』と続き、『姥勝手』では彼女は80才となっています。勿論ますます元気。
 
 大阪船場の問屋の奥さんで未亡人、今は息子に代を譲り悠々自適。
 
 オッサンになった息子たちには興味なし、

 日々楽しく清々しく生きる歌子さんにはいつも拍手したくなります。
 
 田辺聖子さんの作品は肩をはらず、楽しく、ちょっぴりビターな味。

 仰る通り、「自分を鼓舞し」また読者も鼓舞してくれますね。

                                      カロ

 
 

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