Chat du mois 

Chat mai 五月の猫

恋猫がいやに目につく偶数日 伊藤トキノ

ねこベッド

アランがめざめたとき、太陽は高くのぼって、窓縁を照らしていた。
えにしだの黄色い房が、透き通るように光ってサアの頭上にたれていた。それは無邪気な、青みがかった昼間のサアで、念入りに身だしなみをととのえているところだった。
「サア!」
「ムゥレーン!」猫ははじけるような声で答えた。

えにしだ2

「ぼくのせいじゃないよ。おまえが腹ぺこでも。早く欲しかったら、下におりてミルクをもらえばいいんだもの。」
猫の目は忠実で独占的な愛に満ちており、見つめられているうちにアランはひどく不安になった。
困ったな、この猫。・・・この猫をどうしようか。・・・結婚することをすっかり忘れていた。・・・

ねこ女女女

木漏れ日のちらちらするなかで、猫は、小さな朝食用のテーブルの上のアランの食器のかたわらにちょこんと座った。
アランはサアのミルクをついで、塩をひとつまみと砂糖をひとつまみとかしてやり、それから真剣な表情で食事にとりかかった。
彼には四歳から七歳くらいまでの妙に物に凝る年齢に、無意識の縁起かつぎから身に付けたらしいいくつかの癖があったが、ひとりきりで朝食をとるときには、それを恥ずかしがる必要もなかった。

カフェオレ1

パンの「お目め」つまり気泡を片はしからバターでぬりつぶしたり、カフェオレをつぐときには、目印になっている金色の唐草模様をちょっとでもこえるとしかめ面をしたり、最初のタルティーヌは厚いもので、次は薄いものと決まっていたし、二杯目のカフェオレには、一個よけいに角砂糖が必要だった。

タルティーヌ1


ひわ

二羽のかわら鶸が、朝食のパンくずをついばみに砂利の上に下りてきたが、サアはそれを平然と見ているだけだった。
五月の微風が彼らのうえを吹きわたり、黄色い薔薇の木がなびくと、花ざかりの針えにしだのような芳香がただよった。
            コレット『牝猫』

ねこ女女女女


黄色い薔薇


スポンサーサイト
印象的 from 白秋マダム | URL | 2011/05/23 Mon 09:14 [EDIT]
初めまして、ご訪問ありがとうございました。
さっそくお邪魔しました。

いろいろな写真の組み合わせでまとめ、素敵な文章が散りばめられて、、、、知的です!
次はどんな写真と文だろうとわくわくしました。

これからも楽しみにしています。
白秋さま from カロ | URL | 2011/05/23 Mon 18:14 [EDIT]
白秋マダムさま

 こんにちは ありがとうございます

 5月のねこに添えた文章はコレットの「牝猫」です

 コレットは「シュリ」「青い麦」などで知られるフランスの女流作家

 私は「牝猫」の装飾的な文体に惹かれています

                                 カロ

ADD COMMNET

title:

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRAKBACK URL

RECEVED TRAKBACKS