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  の一冊
       Livre de karo 

                      白壁のよりの国を覗く 渡邊白泉  
            IMG_7104 (3)

        この句は実際の光景を描いたのかもしれない。だが、のこちら側は平凡な日常であり、

              の向こう側は夢のような美の世界であるという比喩とも取れる。

                  すなわち、芸術の世界への憧れをの花に託しているとも考えられる。

                            今泉康弘 『渡邊白泉の句と真実』
            
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                            オキーフ 白い薔薇

         異色の俳人渡邊白泉(1913~69)の生涯と作品を追った「の句と」を、

                 さんが上梓されました。

                 白泉作品のすばらしさに、いまさらながらきました!

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         渡邊白泉
                    いろくく戦死せり

                         戦争が廊下のに立つてゐた  

            編集者であった白泉が、20代で詠んだ作品です。

   新興俳句の拠点「京大俳句」に属していたこと、戦争の不気味さを言い当てたこれらの作品も原因となって、

     1940年、白泉は治安維持法違反の嫌疑で連行、起訴猶予となりますが、以後の執筆を制限されます。

         彼の名をに伝えることになった句が、彼の活動をさまたげることになったのですね。

            眼のてし教師と我もなりゆくや
                        凍てた眼で見ていたもの・・。

                           雪の結晶2      

                 戦後は高校教師となり、かな生活を送ります。

      新しい作品を発表することはほとんどなく、脳溢血により、55歳の人生をえました。

      反戦の俳人として登場することが多い白泉ですが、今回、今泉さんの選でよみがえった句の中には、

              情にあふれ、文学性の高い作品を、たくさん見つけることができました。

                   雪の日のの子を恋ひそめし
                        そばかすは雪のように頬に降る。

                      seimiya 1
                                          清宮質文
    生続き雪ふる街に      
      装飾のまったくないことばに抒情があふれます。    街燈はにぬれるためにある
                                    街燈は今別れた人。

            とぶらんこを漕ぐ手足かな
                     ぶらんこも手足もあをあをと美しい。

                         げんげ田や作家を訪ねゆく
                   出版社時代の実体験か、句も童話のよう。

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  とゆけば真間の継橋照る

    真間の継橋は万葉集ゆかりの名跡。 市川市真間付近は、弥生時代末ごろは砂州に囲まれた土地でした。

              通行のため、いくつもの小橋が架けられていたそうです。 

                 真間のという少女の伝説でも知られます。

     手児奈は、ふたりの青年が彼女をったために、心を痛めて入水したというなんとも純情な人。

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                                         藤島武二 「朝顔」

              白泉はこのあたりを恋人とデートしたのかも知れませんね。
        
          我も見つ人にも告げむ勝鹿の真間のが奥津城ところ 山部赤人
                     手児奈を偲んで詠う赤人。手児奈の墓?を訪れた由。          

   上総守がゆく
       市川に残る真間の継橋。 川はもう流れていないそうです。  ブログ「上総守がゆく」さんより
                近くの家にお蒲団がほしてあったりして、ローカルな良い感じ。

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           桃の花くなりたる峠かな
                        蕪村かと思うような・・。
                                             
               オキーフ1919                                                
                         オキーフ カンナ
                              
                         鶏たちには見えぬかもしれぬ
                        こちらも代表句とされる初期作品。鋭い世界観に圧倒されます。                   
  毬0

    終戦から数十年を経て、の存在がびクローズアップされるようになりました。
            
       銃後といふ不思議な町をで見た
            戦争詠を詩にしているのはという一字。    
                                
         夏の海水兵ひとり   繃帯を巻かれな兵となる
   〈紛失〉ということばの切実さ。                  〈巨大〉ということばの怖さ。

                            白泉はれてはいけない人ですね。
          
        プール15           
                                       
     俳人は自他共に認める酒飲み。

         い死も、不摂生が原因のひとつだったようです。残念ですが、お酒の句もなかなか魅力的。
                          
   春深き酔よ
          ふらふら。
                   1975重奏 (2)syou
                                      有元利夫 「重奏」

                       かん酒や雪とならん雪になれ
                              寒いほど、お酒が美味しい!?
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                    句の魅力はつきません。

      さんは、詩性と社会性がふたつながらそなわった白泉作品を、

            関係の方々に地道な取材を試み、事実を積み重ねて、謙虚に読むことに徹しています。
                                 IMG_5238 (2)

     そんな今泉さんの筆が、冒頭のの句鑑賞では、情熱的に走っていますね。                      

             白壁のよりの国を覗く 渡邊白泉 

              の向こう側は夢のような美の世界・・。 今泉康弘

                     今泉さん、ご恵投ありがとうございました! カロ

                          four-leaf-cloversyou.png
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