カロの一冊
Livre de karo
誰かが植えた樹でわたしが涼しい 田中いすず

姉崎一馬 「はるにれ」
句会「現代俳句のつどい」は、錚々たるメンバーと自由な会風で知られるお集まり。
1983年から毎月一回の句会、休むことなく、400回を迎えられたとのこと!
100回ごとに充実の合同句集が編まれてきましたが、この度4冊目を上梓。

「選集現ⅳ」ができあがりました!
目をうばわれるような句の数々。 沢山ご紹介したいと思います!


月は出たかと点滴を見つめいる 佐藤晏行
佐藤晏行さんは句会牽引者のお一人でした。 残念ながら、ご逝去。 ご冥福を。


ひぐらしがおわりにひと言ここいいよ 小町 圭
ひぐらしは人生の達人か。

なまいきなやつと思われ夏羽織 湯本 直也
なまいきだけどカッコイイ。

炎天やピサの斜塔は愚直なり 川名つぎお
その通り! 斜塔がうらやましい。


正面も横顔もみな蝸牛 前田 弘
言葉を求めてやまない前田さんは大きな方。


深刻な話のあとに冷蔵庫 中内 火星
理屈ぬき! 印象的な句を次々に発信なさる火星さん。

捨靴やセイタカアワダチソウの海 楠見 惠子
セイタカアワダチソウの海原を捨靴はどこまでも航海します。

むかしむかし手は足であり鶏頭花 杉本青三郎
言葉の外側へ誘いだしてくれるような杉本さんの句。

狩野永徳 花鳥図押絵貼屏風

寅さんの消え方が好き夏の空 普川 洋
いちばんステキな消え方ですね。

踊の輪離れて妻の誕生日 劔持 劔二
なんと素晴らしい愛妻句。

鏑木清方

品川はうずらたまごに暮れてゆく 黒川智子
突然こんな句も現れます! つどい句会の奥深さ。

満月や走れ地球の非常口 朝倉さとえ
わたしも走りたい。 満月に遅れぬように。

芒原ことばひとつで人は死ぬ 鍬守 裕子
ことばによって生きることもできれば・・・。

精神的に芒が不足しています 金子 功
芒がたっぷりあることはしあわせ!
中指は小指に遠し秋の暮 横須賀洋子
指と指は人と人か。

山霧を吸って純情売りにゆく 小湊こぎく
純情と山霧はピッタリ。

母さんの家出花野は暮れなずむ 石山正子
花野には何人もの母さんが立っている。

駅弁のふたをあければ大花野 岡田 淑子
卵焼き、空揚げ、つくね、おしんこ。 花野です。

晩夏光種も輪切りのレモンティ 吉田香津代
長かった夏も静かに終わります。
心療科レモンスカッシュの処方箋 若林つる子
ほんとにスカッとしそうです。 ひと息に!

水中花夜明けのコーヒー飲みたいか 藤方さくら
水中花はコーヒーが好き! 琥珀色のコーヒーの中でゆらゆら。

麻酔からさめる空っぽの金魚玉 大川 竜水
もうひと眠りなさったら、赤い可愛い金魚が泳いでいます。




胃にあかあかと柿があり晩年 大坪 重治
晩年の柿はことさらに赤く華やかに。

柚子の実の笊ごと小父さんの遺影 市川 唯子
小父さんの人生は笊の中で金色に輝きます。


焼藷屋の声と釣り合うアヴェマリア 表 ひろ
♬アヴェマリ~ア~。 ♬や~きイモ~~。 ホント!



身の内に裸木となる力かな 秋谷 菊野
菊野さんは今回の上梓のコンダクター。 エネルギー横溢の句ですネ。

誰かが植えた樹でわたしが涼しい 田中いすず
木を植えてくれた人と田中さんにみんなで感謝!




祝! 「選集現ⅳ」!! ありがとうございました。 カロ

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