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            の一冊
                livre de karo

                                仏に剥落のつづきをり  細見綾子 『伎藝天』 

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                                                   角谷昌子さんの新著と美しい面立ちの浄瑠璃寺吉祥天女像。                                                                     
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 秋篠寺の伎芸天。 綾子が詠んだのはこちらの由。 胸衣のあたり、剥落の中にかすかな紅が見えますね。


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           『』は、綾子が「日本の言葉との新しい出会い」を求めて授かった、言葉の花束のような句集である。

                     ・・・綾子の場合、無常観に心を縛られるのではなく、 

と思われる対象にも、「不限定」かつ「有限」の美を見出し、心の平安を得たのではなかろうか。

          ・・・身体感覚で感動を描く独自の詩心のである。

                                      角谷昌子  『俳句の水脈を求めて  平成に逝った俳人たち』

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               本稿執筆により、影向や回向、すなわちを慰め、しかも自分を鼓舞するという俳句の力が、

                            平成を通しても見えてきた気がする。

                                 角谷昌子   まえがき ― 俳句の力

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            30年という平成の、たくさんの俳人が逝去しましたが、            

             さんの 『を求めて 平成に逝った俳人たち』は、

                         まさに終ろうとしている時代をわたしたちに明示してくれるです。

                  い言葉の海から探し出された表現者たちのプロフィル。

        彼女の筆致は。  俯瞰的ながしっかりと守られ、文章にはゆるみがありません。


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                       や冬日の水脈を織り  古沢太穂
             闘士としての揺るがぬ厳しい姿勢ばかりでなく、人間としてのしさ、
                         詩人としてのかな感受性を味わうことができる。  角谷昌子

                             きねばや鳥とてを払ひ立つ  村越化石
                         雪を払いのける鳥の生命力にまされる。  昌子


                    思想に生きた、病に立ち向かった

             昌子さんのまなざしは、苦難多い人生を生きた俳人にも注がれます。

          び出された人たちは、彼女に、としての自分自身の言葉を訴えかける存在であったのでしょう。


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                          青天のはじめは光りなり  細見綾子


        純真芳醇な句作で知られると、後に夫となる沢木欣一とのいは次のように記されます。

                        第二次大戦中、綾子は長い闘病後、欣一はまだ学生でした。 

                                 IMG_0340(2)_convert_20160922204031.jpg                                   

         学生たちは近いうちに戦地へ赴かねばならず、それまでいかにきればよいかを話し合っていた。 

                綾子は慰める言葉をもたず、散りゆく紅葉を見つめながら、

       「いかに美しくするか。そのことだけではありませんの」と言った。

                この言葉は欣一に衝撃を与え、心からずっと離れなかったようだ。

                                          角谷昌子   「細見綾子  天然自然の柔軟性」  『同書』


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                                                       マリア像も剥落・・。

            は、綾子の代表作、

                              のつづきをり
 
            剥落という言葉につながってゆきます。  消耗も剥落も、マイナーに受け取られがちな言葉ですけれど、

                  女性の表現は、滅びの行程にさえ、を生み出すことができるのですね。   

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               に人を好きになれるのは、もう女だけなんですから。  

                                ・・・だね。
                       
                  そうですわ。 女はこともなげに明るく答えて、しかし島村を見つめていた。

                                                            川端康成  『

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           雪の温泉宿に長逗留する男島村と薄幸の芸者駒子。  川端康成の『』は、まことに古風なお話です。

      貧しい生まれ立ち、恩やしがらみにして生きる女性、駒子は、一見、耐えるばかりの弱い存在ですが、

              彼女の言葉には、ときおりの強さと矜持があふれ、読む者を魅了します。

                         ヒロインの生きる「」は、
 
                  綾子が「するだけ」と語ったことと重なって見えるようです。
                        
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          、昌子さんの筆は、綾子俳句のさらに深部に届きます。

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                                    離れもの  綾子

                      生命ののような鶏頭を〈三尺〉を保って見つめるうち、心の拠り所とするさを得た。

                  ・・・社会性俳句の雄であり、鋭い論客を夫に持ちながら、

         当時の風潮に染まらなかった綾子には、侵されない「」感がある。
                                                 
                                              角谷昌子   「細見綾子  天然自然の柔軟性」  

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                       冬薔薇く咲かんとみもつ  綾子

                                  れに向き重き辞書繰る言葉は  綾子
                      薔薇も辞書も、対象にせまりつつ、静かなを保ったことばで捉えられていますね。
                                                                                 
                                ひな6
                        
            さんが贈ってくれる言葉のは多彩です。

                         寒い冬をづけてくれる数句をご紹介して・・・。   

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                             雪の日暮れはも読む文のごとし  飯田龍太  
                     あのからの手紙でしょうか。
        

               勤めるはうに似る白息も  鈴木六林男   
                                 そのあとには、癒しとがありますように。 

                     浄瑠璃寺1    
                                浄瑠璃寺吉祥天女像

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                    を出て朝寒のこゑとなる  能村登四郎
                       きびしい生き方がこもる句ですが、可憐なのくちびるかも・・。
            
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                                      薬師寺に伝わる吉祥天画像。 麻布に描かれた天平時代のくちびるが今も美しく。

          仏に剥落のつづきをり  細見綾子

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                                   寒い日、どうぞあたたかく。  遠からじ・・・。   
                                                                       カロ   
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from 徳田ひろ子 | URL | 2019/01/12 Sat 01:41 [EDIT]
ついこの前まで
俳句は堅苦しくて〜と思っていましたが、カロ様のブログに出て来る俳句は胸んを打つ句が多くて、勉強不足の我が身を反省しています。
発見が多くてブログの更新が楽しみです😆
うれしい! from カロ | URL | 2019/01/12 Sat 15:53 [EDIT]
 ひろ子さま
 
  うれしいコメントありがとうございます。

  今年もどうぞよろしくお願いします。 カロ

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