歳時記
                    saison de karo 


                                       て封印となす春の雪   髙澤晶子                                 
                                       
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               わたしがもしにいなくなってしまったとしたら、清様、どうなさる?

                  聡子はからそんな風に、ことさら人をおどかす口ぶりをすることがあった。

                     ・・・聴き手をはじめから安心させる悪戯気などはみじんも顔にあらわさず、

                  大事中の大事を打ち明けるように、大まじめで、をこめて言うのである。

                       れているはずなのに、清顕も、ついこう訊かずにはいられない。


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                                                                  ルドン


                         いなくなるって、

                             申し上げられないわ、そのは。
                                                                        
                                                           三島由紀夫  『



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                                       春の雪6


                       紫の被布のを胸もとに合わせた聡子が、

                        俥へ上ってきたとき、幌を掲げて彼女を迎えいれた清顕は、

                       雪の幾片を襟元やにも留め、吹き込む雪と共に、

                   白くつややかな顔のを寄せてくる聡子を、

                        平板なのなかから何かが身を起こして、

                             急に自分へ襲いかかってきたように感じた。   


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                        雪2
                                            鏑木清方


                      ・・・お父さんとお母さんが、ゆうべ夜行でお発ちになったの。

                          一人になって、清さまにお目にかかりたくなって、

                              ゆうべ一晩中考えた末に、今朝のでしょう。


                                   春の雪1
                            

                            そうしたら、どうしても清さまとで、

                       この雪の中へ出て行きたくなって、まれてはじめて、

                           こんな我儘を申しました。

                             くださいましね。

                二人のを清顕の持ってきた濃緑の格子縞の、スコットランド製の膝掛が覆うていた。


                            春の雪2


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                                            ローランサン


                         一つのがとびこんで清顕のに宿った。

                             聡子がそれを認めて「」と言ったとき、

              聡子へ思わず顔を向けた清顕は、自分の瞼に伝わるたさに気づいた。

                              聡子が急に目をじた。


                                                   鶴川一郎
                                                                   鶴田一郎

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                                ルドン


                    清顕の胸ははげしいを打った。

                          膝掛の下で握っていた聡子のに、こころもち、かすかな力が加わった。

                     ・・・清顕は自然にを、聡子のの上へ載せることができた。


                                     諏訪さん4 (2)

                      聡子はを流していた。

                        清顕の頬にまで、それがわったことで、それと知られた。

                                                         『春の雪』


                             春の雪3
                  
                            
                                   あやとりのからく春の雪  渡邉樹音
                              くという言葉に、幼い遊び以上の何かが込められて。

 
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           、ことにその晩年の作中、恋人たちは、強い意志で動いているようでいて、

               は自己というものを持っていません。 

                   外側から彼等を操る不思議な意識、おそらくに導かれて、

                      と、その向こうの破滅へ向かってまっしぐら・・・。

                   『春の雪』のも、彼女は身ごもってのち仏門に入り、

                               彼はを落とします。

                           今年も思いがけないが降りました。

                             こんな日は、運命にって滅びてゆく恋人たちに思いをはせましょう。 💖

                                                                 カロ


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                                                        上村松園                                                    

                  春雪のをもて死を惜しむ  細見綾子 
                             追悼句として詠まれたもののようですが、春の雪にはがこもるよう。


                                春の雪4 (2)


                      向き合うてさらにし春の雪   橋閒石
                                          雪はな恋人同士のように明るい。



                                ゆき3

                                             陌ケ・狙convert_20170104013833


                 の朝のことを思うにつけ、晴れ渡ったあくる日も、

                  わたしの胸の内には、仕合せな雪が降りつづいてやみません。

                    その雪の一片一片が清様のにつらなり、

                      わたしは清様をうために、

                     三百六十五日雪の降りつづける国に住みたいとうほどでございます。      聡子


                                                        三島由紀夫 『

                           諏訪さん4 (2)小


                  春の雪ふるうつくしい   種田山頭火
                                      〈〉という言葉もまた美しいですネ。


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