saison de karo 16

           丈高きことがさびしく花紫苑 遠藤梧逸

紫苑


     なんのお祭りなのだろう・・・。
     家々の戸口に国旗が立っている。国旗の出ていない家のほうが少ない。

     わたしの家と道路ひとつ距てた小学校の国旗掲揚塔にも、大きな旗があがっている。

     街は賑やかであった。高い百貨店の影の道路に、風船売りや花屋の車がたくさんならんでいた。

     百日草、矢車草、金仙花、紫苑、雛菊。菊がいちばん多い。・・・ようやく私は思い当った。お彼岸なのだ。
     今日は死者たちのお祭りらしい。・・・

     
     わたしのみあげている空には、たくさんの青い風船のかわりに、
     石灰色の薄い鰯雲が、夥しく南の方から広がりだしてきた。
     そしてわたしの耳には、
     旗の鳴る音のかわりに雑草と、楢の葉のざわめきが聞こえる。
                                       
                                      原田康子 『挽歌』

               矢車草

スポンサーサイト

ADD COMMNET

title:

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRAKBACK URL

RECEVED TRAKBACKS