歳時記

             saison de karo  


                 行く春のが少しやわらかい   下条冬二


                            繝√・繧コ・貌spanolmelvintoledo_convert_20170410221049

 
                                父の書斎の抽斗には時々しい食べ物があった。

                             父は朝六時半には起きて、朝食まで書斎にじこもって本を読んでいた。

                        書斎に入って一時間すると母がを入れて行く。

                             そんな時父はそれを母と二人だけで食べるらしかった。

                                              DSC02294_smallkurumi.jpg                                
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                                   それはのチョコレートだったり、チーズだったり、

                             ビスケットだったりした。

                                                           柏原兵三  『幼年時代』
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                         日曜日のなど母は父に特にたのんで、

                           父の書斎を退出する時、それらを分けてもらってきて、

                             私たちにお裾分けしてくれることがあった。

                              するとそれらは私たちに、の中にこんなおいしいものはないと思われるような

                                がするのだった。

                                   doublecream.jpg                            


                        父の書斎に入ることは厳重にじられていたにも拘わらず、
                  
                               私たちは時々した。


                          caffarel (2)
                                                              caffarel


                  そんな時はず机の抽斗を開け、

                           どんなおししいものがわれているかを確かめたが、

                                         それを食べるはなかなか出なかった。


                        繝√・繧コ・謡ebster_001_convert_20170410223314


                                  父の書斎に忍び込んだ時、

                        私はいつも父の大きな机の右のに置かれているの辞書を

                            そっと拡げて、グラビアの図版を眺めてしんだ。


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                                                    sogou museum


                            、私は図版を見て楽しむほかに、

                          この辞書の重大な利用価値を発見した。

                      この辞書に花びらをはさんだらすばらしいができるだろうと思いついたのである。

                   治郎兄さんが夏休みの宿題に押花をしたのを見てから、

              私は押花のに目覚めていた。     

                                          繝√・繧コ・点convert_20170415220224
                             

                  早速その思いつきをに移すことに決め、

                        庭に行って花びらの種類をできるだけたくさんめてきた。

                                  そしてそれらの花をウエブスターの辞書の中に種類ごとに分けて挟んだ。


                                 チーズ1                                                  
                        

                        ふと私は父の書斎机に、蔵うのを忘れたのかが蓋を開けたまま、

                        ナイフと共に置かれているのをした。
 
                        私はチーズが大好きだった。

                                                繝√・繧コ・兩convert_20170410223246
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                        く切ってひときれ食べても

                        分りはしないだろうという考えが頭に浮かんだ。


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                                                 IMG_0206_convert_20170428153052.jpg
                                                   

                               すでに四分の一位っているチーズにナイフを当てた。

                        しかし下まで届かないうちにナイフはチーズのをそいでしまっていた。

                   今度は思い切ってく切ることにした。

                        切り落としてみると、チーズのり方はかなり目立った。

                             しかしチーズはしかった。


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                        二日おいて私が父の書斎に忍び込んだ時は、

                            チーズはもう半分以下にっていた。

                               私が食べたことは見つからないで済んだのだ。

                            父がナイフを入れる時に、前回ナイフを入れた時よりっていることに気付けば、

                        当然私たち兄弟の誰かのだということが分る筈だったからである。

                            私はして一切れ切ってべた。

                                                       
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               私たち兄弟に時ならぬがかかった。

                   に言いなさい。

              お前たちのうちか、お父さんの留守中に書斎に入って、

                   お父さんが机の抽斗に蔵っておいたチーズを食べたろう。

                        虎雄、食べたか。 父は言った。
                         
                              。虎雄兄さんはさな声で承認してうつむいた。

                        治郎はどうだ。
 
                              はい、し食べました。

                        少しってどのくらいだ。 

                                 チーズ8
                                                    
                        一日おきに一切れ位です。

                        潔、お前は食べなかったろうな。

                        、食べました。

                        母がき出したいのをこらえているのが分った。

                                                                     『幼年時代』

                                 チーズ5
 
                                                      
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