歳時記
                 saison de karo


                          十顆のを喰らひけり  正岡子規


                        梨5



                     学校がまってからずっと、

                     駅前の羽衣タクシーの軒先を借りて、

                     もぎ取りを売っていた爺さんも、とうとう店じまいをした。

                     また、来年のまで、この爺さんともお別れだ。


                                                          庄野潤三 『夕べの雲』



                                                   tamastorydoorblog_convert_20160924123239.jpg  


                      梨8                                                                     
                         

                         爺さんが店じまいをして、いちばんしたのは、

                    いつも学校の帰りにこの爺さんから三十円の梨を買って、

                袋から出して食べていた安雄であった。


                                            譴ィ縲€譁ュ髱「_convert_20160925194221


                         ba00027-kat53.jpg


                          もともと学校の帰りに梨を買って来るよう安雄に頼んだのは、大浦のであった。

                       駅まで買い物に行くと、野菜や他の食糧だけでいつも荷物がになって、

                   とても梨まで買って帰れない。だから、

               梨売りのお爺さんがいたら買ってきて、でもいいから。と言ったのであった。 

           帰り道で、安雄が食べても構わないということにした。

              何しろ学校が始まったばかりで、短縮授業だから弁当を持っていっていない。

                  暑いのとお腹がくのと慣れない授業でくたびれるのとで、

                      物を言うもないような顔で帰って来る安雄にとっては、

                           これほど有り難いことはなかった。

                                                       譴ィ・狙convert_20160924125026   

                      このあたりでは、長十郎梨のことを梨、二〇世紀を梨と呼んでいる。
 

                譴ィ・点convert_20160924125105


                        爺さんの売っている赤梨は九月の初めは一キロ四十円と五十円で、

                     梨が大きくなってからは、一キロ五十円と六十円になった。

                  ところが、これとは別に、一山三十円の梨が台のにある。

                     大きさはまちまち、形はみんなよくない。したのばかりである。


                  譴ィ・托シ狙convert_20160924141015   
                                                                          

                       そのかわりが多い。一キロ五十円ので四個ある。

                    一山三十円の方は八個くらいある。に多いという感じがする。 

              安雄が、一キロいくらの方にはもくれず、こっちの方を買いたがるのも無理はなかった。                                            
              

                             IMG_38771_convert_20151028002227.jpg
                           
           
           、あの子を見ていると・・・と細君が言った。

                        のことは頭になくて、ただただ梨を食べることばかり考えているらしいわ。

            学校から帰って来ると、梨、買ってきた。

                       何の勉強をしたとか、先生がどんな話をしたというようなことは、も言わないの。

            それで、寝るまで、梨食べて良い? 言うことはそれしかないみたいなの。かしら?

                       大丈夫って、か?   

                              、勉強の方です。


                                                      f0135024_19393525_convert_20160924142603.jpg
                                                           
               
                      梨7


                   だけ、大浦は、安雄が爺さんから梨を買ったところへ来合わせたことがある。

                      小さなが梨を並べてある台の前に立っていると思ったら、わが子であった。

                                                                    『夕べの雲』

                                          
                                  03_convert_20160928155603_convert_20160928161516.jpg
                                                                
スポンサーサイト

ADD COMMNET

title:

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRAKBACK URL

RECEVED TRAKBACKS