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        歳時記
             saison de karo 
           
                                    夏帯やといふは美しく  鈴木真砂女

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                 あれは去年の夏、盆も間近かの或るのことでござりました。

                町の寄り合いのくずれで、よそのお人と二三人あのの橋の上でええ心持になって

              風に吹かれていたのでございます。 するとやら、

            い浴衣着たがすうっと私のすぐ傍をすりよって通るのでございます。

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                                                          臥龍橋 大正期 kamimononet

    諏訪さん15こっち                               

             この広い橋の上を人の傍を通らいでもと、そう思うて見ますと、

              れた女房のおはんでございます。 思わずあと追いそうになりながらも、

                 お人の手前もござりますけに、わざと間おいていで警察の横手までいきますと、

            あとから私の来るのが分かったのでござりましょう、くらい板塀のところでっておりました。

              か、変わりないか、久しかったなあ。 と私は申しました。

                 おはんは白い着て、見覚えのある手織縞のをしめておりました。

                                                             宇野千代  『おはん』

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                の上でめぐりあったふたりはもと夫婦。

       宇野千代の小説『』の語り手加納屋は、愛人と妻の間をゆらゆらと行き来するたよりない男性。  
 
                                    舞台は宇野千代さんの故郷山口県です。  
            
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              臥龍橋からほど近く、同じ錦川にかかる錦帯橋。 春の美しい写真。
                                                            撮影 

          おはんと加納屋との間には小学生のもありますが、

               夫は芸者さんのもとにって、妻子とはもう七八年も別れたまま。

                 夫を思い続けていたおはん。 ふたりは、この再会をきっかけに、

                   古道具の店の奥で、しのびうようになります。

                   芸者のさんとの安逸な暮らしに慣れ切った加納屋は、 

             おかよさんときっぱりれることもできず、おはんや息子のこともにかかります。

                                           夏の花 蓮

                               白地着てが刻の水の音  斎藤梅子
                          魔の時間は誘惑の時間、そしての時間。

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                                  のひとを帰して明易き  和泉香津子
                                           という哀切なことば。

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                             うつし身にきもの着るのあと  岩月通子
                             白地にが映っているよう。

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                   浴衣着てひににまぎれ去り   中村汀女
                            こちらはの濃い浴衣か。
                                                
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                    、と裏木戸のあく音がして、  お晩で、というこんまいが聞こえました。

            か、といいながらをあけてますと、ちょうど木戸のあわいから、

                河原町の堤のあたりであげてるのでございましょう、 揚げ花火のにあがって、

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        ぱちぱちとはじけたと見る間に、雨戸のそとに身を寄せて、おどおどとお高祖頭巾の紐といているおはんの姿が、

              その明るいあかりの中に、と照らしだされたのでございます。

                   、というておはんは顔をかくしました。
                                                           『おはん』

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                              ishike2002 (2)
                                                       臥龍橋  ishike2002

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                                  の冷えよりも冷え浴衣  小原啄葉
                             白い浴衣にはイメージがつきまとう。

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                     もう所帯をもってやりなおそうとした加納屋とおはんでしたが、            

             不幸がかさなり、悲劇的な事故で息子をったふたりは、二度と会うことがありませんでした。

          加納屋は彼に尽くしてくれるおかよのもとに戻り、

                息子の四十九日のあと、おはんは住み慣れた町をにします。

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               おはんが加納屋に残した手紙です。

                   何ごともみな、さきのの約束ごとでござりますけに、

                     どうぞ案じて下されますな。 忌の法事もすみましたことゆえ、

                        いまはもう、ふるさとの家をはなれましてもええように思いましてなァ。

                     そこと行くさきのあては申しあげませねど、私ひとり朝夕の口すぎして行きますくらい、

                    何とかなるよに思いますけに、案じてくださりますな。

                して、風邪などお引きくだされますな。              おはんより。

                       旦那さままいる

                                                       宇野千代 『おはん』

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          はやく母に死なれた宇野千代さん、お父さんが再婚した人は彼女と十二歳しか違わぬでした。

           継母はやさしく、千代さんをがります。  『』のモデルはこのお母さんであるとか。

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         父の死後、を出、奔放な恋愛を繰り返した千代さんですが、いつも義母の生活を気にかけていました。、

               母も義理の娘をどこまでもじます。  やさしくもい情の人おはんは、お母さん、 

       悪い女性のようですが、それでもに男性を愛すおかよは千代さんのようにも思えます。

                                みなですネ。
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                                              一途とはなんとなこと。

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