歳時記

                  saison de karo


                            ぬくし何を言ひだすかもしれぬ   桂信子                  
  
                                
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                     或る、軍用自動車が庭の中まで入ってきた。

          運転手と若い兵隊が 大きな梱包を下した。そして、それを家の二階の一番広いへ持ち上げた。

                                                             ヴェルコール 『海の』              
                       

                                640x640_rect_23211985_convert_20160103224109.jpg

            
                 かが扉をノックしたので、姪が開けにいった。

                        そのもいつものように、私にを持ってきたところだった。

                 私は部屋の奥に腰を掛けていた。

                        姪は扉を開けたまま、って立っていた。  


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                 ドイツのは戸口で言った。 ボン・ソワール  そして、入ってきた。

                 軍隊的な敬礼をしてから帽子をぬいだ。

                 ヴェルネン・フォン・エブレナクと申します。・・・お気の毒に思います。

                 姪は扉を閉じた後も、によりかかってぐ前を見ていた。 私は立ち上がりもしなかった。

                 やむを得なかったのです。従卒が何もかもいたしますから、ご安心なさってください。

                 が続く。それは、朝霧のようにだんだん濃くなっていった。


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                 将校はとまどって動かずにいたが、・・・今度はを見て言った。

                 祖国を愛する人々には非常なを感じます。

                 顔をあげたかと思うと、窓の上にある使の彫刻に眼を注いだ。

                 では、二階の部屋に参りましょう。

                                                          『海の』  


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                               フランス映画『海の沈黙』1947年   ジャン=ピエール・メルヴィル監督


                              『はフランス・レジスタンス文学の

                          ドイツ占領下の1942年、ひそかに出版され、

                  フランス全土に圧倒的なを持ちました。


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                          第二次世界大戦中期、フランスのある町、

                  が静かに暮らす古い家は、若いドイツの軍宿に指定されます。


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                               二人は将校の宿泊をむことはできませんが、

                      徹底して彼を無視し、を通すことで抵抗しようとするのです。
   

                   でも、将校は、残忍でも冷酷でもない一人のでした。 


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                      外には雨の混ざった細かいが降っていた。

                       扉が開いて将校が現われた。

               失礼します。いのです。 私の部屋もたいそう冷えています。 しばらくあたらしてください。    

                       彼はの前に立った。が高かった。


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                       姪は機械的に縫い針を動かしていた。彼の方へはをやらない。

               私は煙草を吸っていた。この重い我々のは揺さぶることができないだろうと考えていた。
                     
                           将校は言った。

               私はフランスがずっと好きでした。 ・・・私はです。作曲をするのです。それが私の全生活です。  
                  
                         自分が軍人のなりをしているのは、私にも変です。・・・・

                それは沈黙を破ったとは言いかねる。むしろ、の中から生まれてきたようであった。 



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                            必ず毎晩来るとは決まっていなかった。

                                まず、の上にかがむ。

                             自分ののこと、のこと、フランスのことについて・・・。

                                くは話さない。


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                      どうして、この部屋がこんなにきなのでしょう。

                         彼はの前にいた。  バルザック、シャトブリアン、デカルト、ラ・フォンテヌ。

                       イギリスといえば、シェイクスピア。イタリアならダンテ。しかし、フランスとなると・・・。

                  モリエール、ラブレー、を先にすればいいかわかりません。

                        しかし音楽となると、そりゃあ、私たちの国です。バッハ、ヘンデル、モーツァルト

                            どのがはじめに出ますか・・・。彼は姪をていた。

                                      姪の頬は少しくなった。

                   ・・・・・・・・我々は戦争をしました。しかし、これがです。

                                         もう我々は打ちあわない。我々はする。

                            でも、・・・それには、がなくては・・・。


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                  彼は姪が一度切ったを針に通すまで待っていた。

                           のめどが小さくて、なかなかできなかった。

                  ・・・・ここで立派なお年寄りにお会いできてしく思っています。

                     それから、黙っているおさんにも。このに勝たねばなりますまい。

                                      おみなさい。     

                                                                      『海の沈黙』


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                    この後、将校は、老人と姪はどうなったと思われますか。

                        ストーリーの結末はご想像通りしいものです。 でも、

                   私たちは、私たちのに、違うストーリーを描くこともできるのです。    

                                                                  カロ                                


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