歳時記

               saison de karo 


                           廻しあたりにものののなき  齋藤愼爾 

                                  0独楽
                   というものは独楽なのだ。

                         廻りだしてもなかなかが定まらない。

                               いたままどこへころがってゆくかわからない。

                                        何しろ一本足でっているのだから。


                                                             三島由紀夫 『独楽』                        


                                        少年



                      一人の男子高校生が、三時間の余も塀外に立っていると家政婦が言った。

                      ・・・紹介状がない人間にはわない、と私は言った。

                      家政婦はすでに少年にしているものとみえ、

                      少しでもってやってはどうか、と言った。

              
                                                迢ャ讌ス蜑咲伐譏瑚憶_convert_20161227001003
                                                                      前田昌良

                      それでは玄関の椅子に待たせておけ、

                      外出間際のだけ会うと伝えてくれ、と家政婦に言った。

                                 独楽2  
                   
                                                 
                              玄関へ出てみると、

                                    少年は椅子にと座っていて、尋常にお辞儀をした。

                        どこから来たか、と聞いた。少年はS市の名を言った。

                             はS市へ帰らねばならない、今日中にどうしても

                先生にいたいと思って来た、と言った。

                     
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                                          大山菜々子

                      ・・・何かの話できたのかい。

                      そうじゃありません。少年はと言った。
                                                       迢ャ讌ス・誉convert_20161224223426
                    
                      私は時計を見て・・・何しろ時間がない。じゃ、こうしよう。のしたい質問がいくつかあったら、

                      その中で一番ききたい質問を一つだけしてごらん。

                      でも答えてあげるから。

                      少年はなおっていた。

                                              独楽0 (2)
                                                               阿修羅

                      質問は何もないのか。と私はややもてあましながら、

                      もう一度時計を見た。

                      

                      じゃ、一番ききたいことを一つだけ聞いたらどうだ。

                      少年は黙っていた。にやや力が入ったかと見る間に、

                      ・・・一番ききたいことはね、・・・先生はいつぬんですか。

                      この質問は私の肺腑をした。


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                                                                 三島由紀夫 十代                                                                      

       私が何か滑稽なしどろもどろのをしたことは言うまでもない。

                   ・・・時間が来たので、私は少年を促して帰らせ、自分は約束の外出先へいそいだ。

                              しかし少年の質問のは私に刺さったままで、やがてが化膿をした。


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                                                               シャルダン 独楽廻し


                             少年はただ単に、大人をからかって、おどかしてやろう、というから、

                      悪戯心でそんな質問をしたのかもしれない。

               が、私は経験上、少年期というものがどんなものであるかを多少っている。

                      少年というものはなのだ。

                  
                          独楽1 少年の日々 前田昌良
                                                    前田昌良  

                    
                  ・・・大人と違うところは、とにかくっているということである。

                        ることによってようやく立上れるということである。

                             らない独楽は死んだ独楽だ。

                                   ぶざまに寝ているのがいやなら、どうしてもらなければならない。


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                                                        安徳天皇遊独楽図


                      しかし独楽は巧く行けば、む。

                      独楽がんだときほど、物事がろしい正確さに達するときはない。

                      いずれまた惰力を失っていてんで、

                      回転を止めることはわかっているが、
 
                      んでいるあいだの独楽には、何か不気味な能力がわっている。

                      ・・・それはもはや独楽ではなくて、

                      何か透明なに似たものになっている。
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                               あのをしたとき、少年はたしかにそこにいたのだが、

                           多分少年の独楽はんでいたから、

                      少年はそこにいなかったことも確かだった。

                今した質問を、次の瞬間にはれてしまっていたかもしれない。


                                                                『独楽』


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                                                       前田昌良 

                                                           独楽5 (2)
      
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