歳時記

                    saison de karo


                                     やポテトチップス   杉山久子

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               パートからの帰り道で小さなパン屋に寄り

               を買ってから、ふたたび自転車に乗ってを曲がったとき、

               したいい匂いを感じた。

                                             干刈あがた   『物は物にして物にあらず』より


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                          ああ、なつかしい匂い。

                    でも、の匂いにしては早すぎる。

               の匂いは、枯葉と子供のオシッコのような匂いなんだけど・・・

                        それとも違う。

                            信子は自転車のペダルをこぎながら、まわりを見た。



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                                  あら、いつの間に・・・。

                         小さな家が並んでいる通りに、と、せまい空地ができている。

                家が取り壊された後の敷地が、整地されて、黒々としているのだった。


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                    黒土の匂いって、にいい匂い。

                       ミミズを掘ったり、校庭の草むしりをした時の匂いだわ。

                   信子は敷地を見まわした。といっても、で見えてしまう広さで、

                     二階建ての家を建てても、家族で住むには狭いといったくらい・・・。

                             と同じくらいだわ。どんな家が建つのかしら。


 
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                          玄関の鍵はあいていた。

                               鍵ばかりではなく、ドアもだった。

                                      裕太の運動靴がぬぎらかしてある。


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                       、帰ってるの?

                             大きな声で言いながら、信子は靴をぬいだ。


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                     玄関のすぐ先の、の床にランドセルを投げ出して、

                テーブルの一角で、裕太はにピーナツバターを塗っていた。


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                                             なんか、食べるもの買ってきた?
 
                              ピーナツバターも残り少ないこの頃だよ。


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                        残り少ないって、あんたね、三日で一瓶たいらげてるじゃないの。

                               ドアは閉めておきなさい。

                                        うちに盗まれるようなもの、なんかあったっけ。

                   食べ盛りがいるから、預金通帳の残高も残り少ないこの頃です。

                                信子はポテトチップスを渡した。

                                    


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                            保育園のこっち側に、マッサージの看板が出ている家があるでしょう?

                         あそこのりはどんな家があったんだっけ?

                     犬がいた家じゃない? 茶色い大きな犬。ぼくよくえられた。

                           裕太はをほお張りながら言った。


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          は借地で、犬を飼っていたおじいさんは地代をためてしまったために立ち退かされたのだ、

                            という話を聞きつけてきたのも裕太だった。


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                      に。
 
                        そんなことないよ。すごく立退料っていうの、もらったんだって。

                            あそこ、榎本君ちのおじいさんの土地なんだって。

                                榎本君って、駐車場や酒屋さんの一族の榎本さん?


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                        うん、・・・・土地を持ってるっていいね。働かなくていいんだもん。


                   ねえ、。 信子はすこしおどけて言った。

               あんまりさせてあげられなくて悪いけれど、みみっちい子にならないでおくれ。


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                             あのおじいさんは犬のために立ち退かなかったんだって。

                                それで、犬はどうしたの。

                             犬が死んだから、おじいさんは老人ホームに行くことにしたんだって。
 
                                 裕太はの封を切った。

   
                                                           『物は物にして物にあらず』
                                                           
                          
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