カロ歳時記

               saison de karo 109


                          山羊・羊絶壁の草喰いに来る 成井惠子


                                    スガン

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               ムッシュ・スガンは牝山羊のことでうまくいったためしがない。

               ある、山羊は綱を切って、の中へ逃げ去ってしまう。

               そうしてではが彼女たちを食べてしまうのである。



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               やれやれダメだ。もう一匹も飼わないことだな・・・。

               人の良いムッシュ・スガンは言う。

               匹の牝山羊を同じような手でなくした後、彼はやっぱり匹目の山羊を買った。

                                                        ドーデ 『風車小屋便り』


                              やぎ1
                


               その山羊は、なんとしかったことだろう。

               目はしくて、蹄は黒くピカピカ、真白な毛はまるで雪のヴェールのよう。

               
               ムッシュ・スガンは、屋敷の中庭に、サンザシの垣根をめぐらした菜園をもっている。

               彼がこの新しいマドモワゼルをつないだのはここである。


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               地のいちばんきれいな場所に、一本の杭を打ち、

               綱をなるべく長くのばしてやった。

               山羊はとても満足そうに、喜んでを食んでいた。

               ムッシュ・スガンは安心した。

               だが、それは勘違いというものだった。


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               ある日、を眺めて牝山羊は考えた。

               あのいところに行ってみたいわ。

               こんな綱なんかないところで、ヒースの茂みをかけめぐるのは、

               どんなにしいことか・・・。


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               杭を抜き綱を切り、彼女は屋敷をげ出した。

               どんどん登って、山腹の広々としたに着いた。

               思う存分飛び跳ねて、新鮮なは食べ放題。


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               がったりけだしたり、

               の頂きに上ったかと思うと、窪地の底に駆け降りる・・・。

               彼女には何にもいものがなかったのだ。
                

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               お昼ごろ、彼女はを食べている羚羊の群れに紛れ込んだ。

                     白い衣装をつけた者は、彼らにセンセーションを巻き起こした。


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               一番味の良いを与え、

               この羚羊のムッシュたちは、と彼女に色目を使った。

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               そして、一匹の黒い毛並みの羚羊は、

               彼女と森の中で一時を過ごすさえ得たのである。


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               突然、が冷たくなった。

               山は色になる。夕暮れが来たのだ。

               の上から見下ろすと、野良は靄にかすんでいた。



               ウォー  ォー 

               振り返ると、ぴんと立った短いと、ぎらぎら光るが見えた。

               は赤いを火のようにぺろぺろ動かした。


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               ははあ、ムッシュ・スガンのマドモワゼルだね。

               牝山羊はさっと身構えた。

               を殺せるなんて思ったわけじゃない。

               自分がどこまでえるか、そうとしたのである。

               細い脚の牝山羊は、なんと 十ぺんも、を退却させ、息を入れさせたのだ。

               それは一晩中続いた。


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                 ああ、せめてけまで持ちこたえさえすれば・・・・。

                      スガンさんの牝山羊はそう思った。

                      
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ひとつ、またひとつとが消えていった。

               いは続いた。白々と一条の明りが地平線に現れ始めた。


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               けだけを待って、すっかり血に染まった純白の毛皮にくるまって、

               彼女はれたのだった。

               ・・・・

               やっとが来た・・・。

                                              ドーデ  『風車小屋便り』


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管理人のみ閲覧できます from | | 2017/04/04 Tue 16:49 [EDIT]
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