カロ歳時記

                    saison de karo 108


                       ゆきふるといひしばかりの人しづか 室生犀星


                     雪6


          雪04



             信号所に汽車が止まった。

             向側の座席からが立って来て、島村の前のガラス窓を落した。

             の冷気が流れこんだ。

             は窓いっぱいに乗り出して、遠くへ叫ぶように、

             「駅長さあん、駅長さあん。」

             「駅長さん、私です。ご機嫌よろしゅうございます。」

             「ああ、さんじゃないか。お帰りかい。また寒くなったよ。」

             「弟が今度こちらに勤めさせていただいておりますのですってね。

              お世話さまですわ。・・・・

              ほんの子供ですから、駅長さんからよく教えてやっていただいて、

              よろしくお願いいたしますわ。」


                                                  川端康成 『


                                       雪02


               雪01
                                          

                    「駅長さん、弟をよく見てやって、お願いです。」

                         悲しいほどしい声であった。

                            高い響きのまま夜のから木魂して来そうだった。

 
                                雪7



                                                 雪9

                                          『』執筆の頃の川端康成  


                                雪03


                                                雪08

                                                         

                  の十時ごろだったろうか。

                  が廊下から大声に島村の名を呼んで、

                  ばたりと投げ込まれたように彼の部屋に入ってきた。

                  いきなり机に倒れかかると、その上のものをった手つきでつかみ散らして、

                  ごくごくを飲んだ。

                                                          
                                                        『


                                e0077899_1754982.jpg

                                       雪07

                                              雪06


                                                              

                  この冬スキー場でなじみになった男達が夕方山を越えて来たのに出会い、

                  誘われるままに宿屋に寄ると、大騒ぎとなって、

                  飲まされてしまった、とのことだった。

                  「悪いから行ってくるわね。後でまた来るわ。」


                                  雪8



                  一時間ほどすると、また長い廊下にみだれた足音で、

                  あちこちに突きあたったり倒れたりして来るらしく、

                  「島村さあん、島村さあん。」

                  と、甲高くんだ。

                  「ああ、見えない。島村さあん。」

                  それはもうまぎれもなく女の裸のが自分の男を呼ぶであった。

                                                             『

                                                     
                                                雪11
              


                  川端康成の『』のふたりのヒロイン、駒子と葉子。

                     駒子は芸者、葉子はかたぎの少女です。

                        それぞれ別のシーンで大きなをあげるふたり。

                           どちらも必死な叫び声ですが、

                              の声はきよらか、の声は艶やかです。   カロ


                         雪0


                                                雪09

                                               
スポンサーサイト

ADD COMMNET

title:

name:

mail:

url:

comment:

password:

TRAKBACK URL

RECEVED TRAKBACKS