カロ歳時記

             saison de karo 106 


                      どんな闇を閉じ込めているのだ無花果    増田幽黙

                               
                   いちじく2



                                   いちじく01


                                                     
 
                      だ。

                         私はまず郵便物を局へ持って行き、

                            それから妻の好きなをいくつか八百屋で買い、

                               ついでに薬屋で、入りの風邪薬を買い、

                                  その帰りに、じつはこれはまだの許可を得てはいないが、

                                     本屋で『鉄腕』の最新号を買ってくるつもりでいる。

                                                              山川方夫 『最初の



                                   いちじく13



               いちじく11


                                             いちじく6



                              これがの仕事だ。

                                もちろん、これがだとはいえないにしても、

                                  だいたいこんなことが私のこの町での「」になる。



                            いちじく10



                              いちじく4



                  はまだ眠っている。

                  彼女が起きだし、彼女の一日の仕事に取りかかるのは、

                  たぶん、帰宅した私がを全部開けはなってからあとのことだ。

                  なんというくだらない一日の始まり、とは言うだろうか。



                          いちじく8




                        出しっぱなしのに横になって、

                        しばらくぼんやりとをしてから、

                        私はの寝ている部屋に行く。



                           いちじく03
 


                              おい、起きなよ。もう12時だよ。

                               ・・・・うーん。

                              あれはまだもうすこしるつもりでいるときの声だ。



                               いちじく1



                            はやっと起きたようだ。

                   しばらく眩しい日光のなかにいたせいか、目に色の暈がかかっている。

                   その中で、台所で働いているの姿が見える。



                                      いちじく9


                            彼女はガウンの上にを結んでいる。



                             いちじく3
                                    

 
                                 「どう?な日?」

                                 「うん、な日だ。」
                         

                                  いちじく7


                           いちじく1



                        「ねえ・・・・10月7日の午前9時46分よ。おぼえといて。」

                              を食べながらが言う。



                           いちじく02



                        「なんだいそれ。」

                        「がこの町を通るんだって。ねえ、見にいかない?国道まで。」

                        「・・・行くとするか・・・。」


       
                              いちじく0
 

                                私はを口に運んでいた。

                                                              『最初の


                                 itijiku.jpg
 
                                                  

                    は1965年、34才で交通事故死しました。

                    この小説は死の前年、1964年の秋を描いたもの。

                    でした。

                    10月、東京オリンピックが開催され、

                    作家の住んだ町、神奈川県二宮を

                    が通って行きました。

                                                    カロ


                                             p001.gif


                                                            

         
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