saison de karo 4



                 雛菓子の紅濃きところほろにがし  文挟夫佐恵


                   ひなあられ


              男君は、朝拝に参りたまふとて、さしのぞきたまへり。

                   「今日よりは、大人しくなりたまへりや」

                 とて、うち笑みたまへる、いとめでたう愛敬づきたまへり。

               いつしか、雛をし据ゑて、そそきゐたまへる。三尺の御厨子一具に、品々しつらひ据ゑて、

                  また小さき屋ども作り集めて、たてまつりたまへるを、

                       ところせきまで遊びひろげたまへり。

                 「儺やらふとて、犬君がこれをこぼちはべりにければ、つくろひはべるぞ」

                          とて、いと大事と思いたり。

                 「げに、いと心なき人のしわざにもはべるなるかな。今つくろはせはべらむ。

                             今日は言忌して、な泣いたまひそ」

                 とて、出でたまふけしき、ところせきを、人びと端に出でて見たてまつれば、

         姫君も立ち出でて見たてまつりたまひて、雛のなかの源氏の君つくろひ立てて、内裏に参らせなどしたまふ。

                                 源氏物語 紅葉賀



              (想うひと藤壺の女御の遠縁にあたる紫の姫を引き取って後見人となった光源氏。
                        
                    幼い姫の無邪気さが可愛くて仕方がない。)


                     源氏の君は、朝、宮中におでましになる前に、紫の姫の部屋にお寄りになった。

                 「今日は大人しくしておいでですか・・。」と、楽しそうに笑って話される。

                     姫は、雛の家、道具を部屋いっぱいにひろげ、小さな世界をつくって遊びに夢中の様子。

               「せっかくならべたお道具を、犬君がこわしてしまいました。いま、なおしているところなの。」

                         まるで一大事のことのよう。

                「それは大変だったネ。いますぐに直させよう。良い子になさいよ。泣いたりしてはいけませんよ。」
               やさしく言う間もいそがしく、源氏はお出かけになる。

                    従者たちに交じって、姫も送りに出られ、雛人形の殿方を源氏の君に見立てて、

                       内裏におでましになる真似ごとなどなさる。  (カロ訳)





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