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      の一冊
           livre de karo

                                  よもう掃くのをやめなさい  岩淵喜代子 

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            新刊 『集』は岩淵喜代子さんが既刊6冊の自句集から自選した句を収めます。  

                           40年あまりの句行から選び抜かれた300の。 

                で研ぎ澄まされた言葉の数々に酔わされました。

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           自註として添えられた言葉は、なにげなく静かなものですが、作句への思い、厳しさが

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                                は遙かな群るるごと
                            さなものを大きく、きなものを小さく詠むのが俳だと思う。  喜代子

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                古書店の中へのつづくなり 
                
                                       の見えくる書庫の   
                あるべきものをいかのごとく、ない物をあるかの如く再現するのが俳味というもの。  喜代子

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                                   足を運べば手の揺れて
                 偶発的に生まれた句であるが、一寸のいもなく出来上がった。   喜代子
          菱田春草これdesu
                                                           菱田春草 『落葉』 右隻 

               もつものに木の葉のふりやまず   
                     ・・・何でもない風景を言葉によってさせる詠み方を俳句の主流としたい。  喜代子
                
                           背骨、木の葉。まさに何でもない言葉。そこに、
                                    考えても考えてもわからないような深さとが現れます。    カロ

                       菱田春草 落葉 左隻
                                                                  『落葉』 左隻   

                         よもう掃くのをやめなさい   
             の下に、二十一歳の時に他界していた母を置いた。  喜代子

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                   ご両親は早く他界、どんなにしかったか。 でも、

                             感情はみごとに制御されて、はものを見つめることに集中しています。


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                  と言えば、印象深いのが、キャロル・リードの映画『』のラストシーン。

                    売れない女優アンナは、犯罪を繰り返すハリーを思いきることができません。

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                                           映画でアンナを演じたアリダ・ヴァリ。 戦後イタリアの名女優。

                   ハリーの友人、彼女を愛する小説家マーティンにも、をひらけないアンナ。

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                  愛される男 ハリー 悪そう オーソン・ウェルズ

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                                              愛する男 マーティン やさしそう ジョセフ・コットン   

                       彼女は言います。  だけを愛しているの。  1950年代の純情。

                   警察に追われ、抵抗したハリーは撃たれ・・・。

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                                                       All Movie Guide 

                ハリーの葬儀の後、で帰路につくアンナは、しっかりとした足取りです。

          愛してくれる男が待つ。 とりかえしのつかぬもののように、銀杏の葉が落ちて・・・。

                        彼に一瞥もおかず、アンナは通りぎて行きました。

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                                                      All Movie Guide 

             の降りしきる中、まっすぐに頭を上げてく彼女は、まさに戦後ヨーロッパの自立した女性。

              彼女が去っていった後、煙草を咥える男のもよかった。(煙草は控えめに・・・)

                                          彼もまた、彼女を愛したのですね。

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                     原作はイギリスの作家グレアム・の同名小説。 原作のラストは、

                アンナとマーティンが手を組んで並木道を歩いてゆく展開に。  新しい愛にとしますが、

             なんといっても、映画のラストが圧巻。 やはり落葉はれにふさわしいのか・・・。                      

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               見慣れたる枯野をも眺めけり 
       なぜか好きな句である。見馴れた枯野はには花が咲くのである。には草紅葉になるのである。  喜代子
                  第六句集 『』の収録句。 

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                          穀象へ或る日のやうな影 

                                   木巨船無く通り直ぐ
                    穀象、木の葉髪というな季語が、岩淵さんによって、大きく新しくよみがえりました。   
               
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                         暗がりは十二単の
                      『源氏物語』の主要な女性の一人、の上の人生のようです。 
                          彼女はうつくしく不幸なひと。
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                                                                   ムラサキシキブ saitasaita
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                           眠れねば椿のやうながあり 
                  眠れない、岩淵さんの心には一輪の椿が咲いて。

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                                    に椿の花の掃かれをり 
                             こちらはたくましく楽しい妻の。 だんなさまはしあわせ!?でしょう。

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                 やナイフとフォーク両の手に
               自由詩のように斬新な世界。 空に雁、両手に銀のナイフとフォーク。
                              真っ白いテーブルクロス。生命の形がしています。

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          内省ととするような飛躍。 いずれも厳しい言葉にえられて、喜代子俳句の魅力はきません。                             

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                                  よもう掃くのをやめなさい  岩淵喜代子
                       あとからあとから散る落葉。 そのあとから

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      歳時記
             saison de karo         


                                    をほおばって  武本明波

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                           1970年11月25日は、三島由紀夫が人生をじた日です。

              の初期の長編『をめぐる冒険』は、この日からはじまります。
                            
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              日のあの奇妙な午後を、僕は今でもはっきりと覚えている。

   強い雨に叩き落されたの葉が、雑木林にはさまれたを干上がった川のように黄色く染めていた。

            僕と彼女はコートのに両手をつっこんだまま、そんな道をぐるぐると歩きまわった。

                                                            村上春樹 『をめぐる冒険』

                  ぱら

                     は21才で、あと何週間かのうちに22才になろうとしていた。
                   
            当分のあいだ大学を卒業できる見込みはなく、かといって大学をやめるだけの理由もなかった。  
               
                 彼女が聞いた。 いつも嫌なをみるの? 

                    よく嫌なを見るよ。  大抵は自動販売機のつり銭が出てこない夢だけどね。

           彼女は笑って僕のに手のひらを置き、それからひっこめた。

                   本当にしゃべりたいことは、うまくしゃべれないものなのね。 そうわない?

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                                                              ファン・アイク
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                                                アンドリュー・ワイエス

                あなたと一緒にいると、時々とてもしくなっちゃうの。 彼女は言った。

                                                          『をめぐる冒険』

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              東映
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                        やくざ映画を愛していた三島は、1970年(死のひと月前)の対談で、

           彼がに観た映画である『昭和残侠伝 死んでもらいます』での藤純子についてこう語っている。

      藤純子がすごく良かったね。 していてね。

            一輪挿しの花がいつもゆれているような、とこちらを向いた時の表情・・・。

                                                   中川右介 『昭和日』

                                  しろやまぶき2

          人生最後の映画を観ながら、、作家もを食べたのでしょうか?  カロ

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    中川右介の 『45』は、さまざまな日本人が、、どうしていたか、それをまとめた本です。

       するのは映画監督の大島渚当時38才、作家の吉行淳之介46才、映画「座頭市」の勝新太郎38才。
                      
              三島の小説「」のモデル歌舞伎の名優中村歌右衛門53才、昭和の演歌歌手村田英雄41才。 

                       美術家の横尾忠則34才、詩人の高橋睦郎33才・・・・。

              そして、学生だった村上春樹は21才。 

          印象深かったのは、三島が最後に観た映画の女優、さんの様子でした。


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                   藤純子は、この年、25才。 (12月生まれなのでまだ24才)

        1970年に最も観客動員が見込める女優は藤純子だった。 

          彼女の人気を不動のものにしたのが1968年の『緋牡丹博徒』の〈緋牡丹のお〉である。

                                                               『昭和日』                                                                                                                               

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                                                    速水御舟


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       三島の死のニュースがかけめぐったこの、撮影所の廊下で出会った映画監督に、彼女はこう言った。

                              も自殺しようかしら。

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           彼女は歌舞伎界のプリンス、尾上菊之助(七代目菊五郎)との恋愛の最中だったのだ。

                       ふたりが知り合ったのは、1966年のテレビドラマである。

                    藤の親は、東映の大物プロデューサーだった。 彼に逆らえる者はいなかった。

        である純子に近づけば殺されるとのうわさが広まっていた。 そのため、彼女に近寄る者はなかった。 

              ところが、テレビの世界では彼女をガードするものがなかった。

                 やがて共演の菊之助と親しくなり、藤は始めてに落ちる。

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     ふたりの婚約が発表されるのは翌年なので、ちょうどこのころ、結婚が現実のものになっていたと考えられる。

         この年の東映は彼女の映画だけで十数億円の興行収入があったとされ、

  まさにドル箱である彼女を手放せる状態ではなかった。  父は娘のと会社の利益という選択をせまられる。

                     彼女もまた父の立場と自分の幸せという択一をせまられていた。

                藤純子の引退は1972年のことである。 

                                                            『昭和日』

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                  をぬけてキャンパスまで歩き、いつものようにラウンジに座ってホットドッグをかじった。

                         ラウンジのテレビにはの姿が何度も何度もくりかえし映し出されていた。

             ホットドッグを食べてしまうと、もう一杯ずつコーヒーを飲んだ。

                                                     村上春樹  『をめぐる冒険』
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                       三島忌の帽子のなかのかな   攝津幸彦
                    攝津幸彦は村上春樹より年長です。  幸彦はうどん、春樹はホットドッグ。

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                   おむすびのなにもなき三島の忌 橋本榮治 
                            大きな梅干しが入っているかと思っていました。

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                                                              中央公論

                      
                       をほおばって  武本明波
                    明波さんのポップコーン、憂国忌という強烈な言葉に負けていませんネ。 !!


              ホットドッグ、コーヒー、うどん、おむすび、そしてポップコーン。

                        日。

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