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                                      秋猫の目のほどに恋ひわたる   飯田蛇笏

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      は公園通りあたりではもっとも長命なメス猫で、小公園に面したマンションの入り口にいつもいる。

        私がここに越してきてから十八年目だけれど、その時にもう、を連れて歩いていたから、

                            なくとも十八歳以上ということになる。
                                                           早坂暁 「アマテラスの最後の旅」


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       は人間だけの視線と思っていたら、 はどこで学習してきたか、ちゃんと流し目をする。

                   さらに口の上に、つけのような黒い斑点もあって、風でもある。  

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                                               Twentieth Century Fox Film
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                 人間が見てもっぽい猫は、 猫が見てもっぽいらしく、

                        アはいつもオス猫に囲まれ、さながら女帝のようにして生活してきた。 

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                                              NAGASIME
                                                   女帝じゃなくて女王クレオパトラです。

                              たぶん、公園通りに住む猫をたどれば彼女にたどりつく。 

         つまり彼女の娘、息子、さらにたちであるから、わたしはと呼んできた。

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                  安田靫彦 卑弥呼
                   アマテラスさんの画像はいまひとつイメージ通りのものがなく・・。
                         これは安田靫彦の「卑弥呼」。 見てきたような存在感はアマテラスっぽさも。


                             の流し目強き日必ず雪降る   夏石番矢
            イザナミはアマテラスのお母さん。 やっぱり流し目はと関わりがあった! 

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                                                           卑弥呼アップ さすがの目力

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                    脚本家は猫好きで知られていました。

                           ことに、近所のたちに愛情を注いでいたようですネ。   カロ
                          
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                                の年齢をに換算すると、

                                      

                            一か月             一歳

                             二か月             三歳

                             三か月             五歳                  

                             一歳               十八歳     
            
                                  枯葉

                           十歳               五十六歳           

                           十五歳              七十六歳

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                                    獣医さんに教えてもらった。  

                           十七歳以上となると、つまりさん、さんクラスですね。

                    クラスというのだ。
                                                               「アマテラスの最後の旅」

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                老残の恋猫としてけるかな   安住敦 
                                 アマテラス晩年の恋はどんなにやかだったでしょう!

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         アの様子がおかしいので、 ここ数日はできるかぎり彼女のそばから離れないようにしていた。

                   もない。 人間なら百歳もっと、なんだから。

            ・・・ は、もう食べることも、水を飲むこともしなくなった。

                好物のマグロの中トロを置いてやっても、口を近づけようともしない。

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                    が身を起こした。 ゆっくりと後を追った。

                      公園通りの猫たちとずっと付き合ってきたけれど、

                          猫たちは一度だってどこで死ぬのか教えてくれなかった。

                                       グエン・ジョン 青とバラ色の上のネコnekosyou

                みんな、姿を消してしまうのだ。

                            巡査も、ブックも、カルメンも、オートバイも、(みんな猫の名)そうだった。

                    はよろめいては立ち止まって休む。 彼女は、ここ数日ろくに食べていない。

                        彼女は線路にぶつかったところで左折した。線路ぞいの長い坂を上り始める。 

                                  に明治神宮が見えてきた。 
               
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                、そうか。あそこなら、立入禁止区域なので、誰の眼にふれることもないのだ。 

           まだ坂道が続く。のろのろと、は登ってゆく。

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             うずくまり、立ち止まる。そしてまた歩き始める。 わたしはきそうになっていた。

                       人間はするばかりだが、君たちは立派だなあ。

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    はとうとう坂を登り切った。  あとは、車道を横切るだけた。 だが、車の通行がはげしくて、とても渡れない。

              抱きあげようと近づくと、はもう車道に足をみ出していた。 

     私はあわてて車道に飛び出し、 車に向かって手を振った。 ! 止まってくれ!
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            ブレーキの音を立てて、車が次々に止まった。 さあ、渡れ、渡るんだ、

               奇妙なの男が両手を挙げて車を止め、その前を、老衰著しい猫が、と歩いている。

               非難の警笛は鳴るが、私には振り返る余裕も勇気もない。 抱き上げればすぐに渡りきれるが、

          彼女がを絞りきって行う最後の儀式に、手をさしのべることは無礼なような気がしたのだ。

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               とうとう、は渡り切った。  彼女の前には、コンクリートの柵があるだけである。

                          彼女は神宮ののなかに入っていった。

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                 ! 私は呼んだ。 もう一度ふりむいて欲しかったのだ。

                   しかし、彼女は足を止めただけで、森の闇に入っていく。

                      さようなら。 ・・・。

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       生まれ生まれ生まれ生まれて生の始めにく、死に死に死に死んで死の終りにし。

                          弘法大師の最後の言葉だそうである。
                                                          早坂暁 「アマテラスの最後の旅」


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             猫下りて 次第にくらく なる  佐藤鬼房
                    猫が登ったままなら、いつまでもいつまでもれでしょうか。

                                     秋猫の目のほどに恋ひわたる   飯田蛇笏
                          ひわたる・・・猫に捧げられたこのみやびな言葉。
 

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         歳時記
              saison de karo 

                                     摘み足してみてもしきかな   黒川悦子
          
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                  きれいな。 政夫さん、・・・私ほんとうに野菊が好き。

                     僕はもとから野菊が大好き。 民さんも野菊が好き。

私なんでもの生まれ返りよ。 野菊の花を見ると身振いの出るほど好もしいの。 どうしてこんなかと、自分でも思うくらい。

                   民さんはそんなに野菊が好き・・・道理でどうやら民さんは野菊のような人だ。

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                                                            土田麦僊

                    民子は分けてやった半分のを顔に押しあてて嬉しがった。  

政夫さん、私の様だってどうしてですか。 さアどうしてということはないけど、 民さんは何がなし野菊のような風だからさ。

              それで政夫さんはが好きだって・・・・。 僕大好きさ。

                                                      伊藤左千夫 『野菊の墓』

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                 野菊、野菊、野菊がいっぱいの素朴な文章、いいですね。

                 。 題名を聞くだけでうるうるしてくる明治の初恋物語は、

                       アララギの歌人であった伊藤左千夫の残したです。

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                     kiku

          ご存知、いとこ同士のふたりですが、 

               政夫が中学の寮に入っているうちに、二歳ばかり年上の民ちゃんにが・・。

                     死産のすえに彼女はを落とします。 涙。

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                 千葉県、例の矢切の渡しなども登場するお話の中には、

                    日本の自然描写もいっぱいです。

                      これは、で山へ綿摘みに行った際の楽しそうな様子・・。

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               民さん、ここまでくれば、はあそこに見えます。 これから僕がひとりで行ってくるから、

                 ここに待っていなさい。僕が見えていたらいられるでしょう。

                   ほんとに政夫さんの御厄介ですね。 そんなに駄々を言ってはすまないから、

                 ここで待ちましょう。 野葡萄があった。

            unwanted and unloved
                                 unwanted and unloved                                            

                   僕は水を汲んでの帰りに、水筒は腰に結いつけ、
             
                四、五十と野葡萄を採り、の花の美しいのを見つけて帰ってきた。


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                                   あけび。 いただきもの。 山形より。 

       
                             の実青きはに置いてくる  池谷秀子
                                 通草は。 なんときれいなむらさき色。 

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                                         あけびの中はこんな感じ。 形はナマコ風。 ゼリーのようなやさしい味でした。


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                  民子はの花を手に採って、

                      こんな美しい花、いつ採ってお出でなして。 竜胆はほんとうによい花ですね。

          わたし、急に竜胆がきになった。 ・・・やがて、何を思い出したか、ひとりでにこにこ笑い出した。

                 民さん、何です、そんなにひとりで笑って。  政夫さんは竜胆のような人だ。

                    どうして。 さアどうしてということはないけど、 なにがなし竜胆のような風だからさ。

               民子は言い終わって顔をかくしてった。

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                    それでさっきの仇討というわけですか。 口真似なんかおそれいりますナ。

            しかし民さんがで僕がとは面白い対ですね。 僕はよろこんで竜胆になります。

                   それで民さんが竜胆をきになってくれればなおうれしい。
                                                             『野菊の墓』

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                                       シャガール 『ダフニスとクロエ』

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                           忘れられない会話。 でも、ふたりのその後はましい。

                   数年後、政夫が帰郷したとき、彼女はこの世にいませんでした。 また涙。

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                     のみにふれてゐたりけり   中田剛
                                 な人のお墓か、それとも誰とも知れぬ人の。
                                 
                               紫苑     

            のやうな仏壇日和  池谷秀子
                               色の菊を供えてあげて。

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                     あけび句でも登場、 池谷秀子さんの新著 『ジュークボックスより』。 
                           ジュークボックスからは野菊もあふれそうです!    
                         
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                       僕はを上げを上げを注いでから、墓の前にうずくまって心ゆくまで拝んだ。

                見舞ってやりたかった。会いたかった。

                       僕も民さんに会いたかったもの、民さんだって僕に会いたかったにいない。

             民さんは嫁に住っても僕の心に変わりはないと、僕の口から一言いって・・・。

                                                                     『野菊の墓』

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                                               ルドン オフィーリア

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               有る程の投げ入れよの中  夏目漱石  
                               漱石が悼んだのも、彼のの人でした。 
                     
                                              mone  

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            昔読んだ時は、人目があるから仲良くしちゃダメ、というお母さんや親戚縁者、
                 
                      なんとな、と思ったものですが、

        久しぶりに読むと、やさしく涙もろい村人たちでした。  最近カロもまるくなりました。

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                                            竹久夢二
                  
                    摘むことをれてみまかれり   柿本多映 
                          野菊を摘む・・・さかった頃に何回か。 また摘んでみたい。
                               
            
                                     摘み足してみてもしきかな   黒川悦子
                      一輪でも淋しい。 百輪は淋しい。

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