歳時記

             saison de karo  


                 行く春のが少しやわらかい   下条冬二


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                                父の書斎の抽斗には時々しい食べ物があった。

                             父は朝六時半には起きて、朝食まで書斎にじこもって本を読んでいた。

                        書斎に入って一時間すると母がを入れて行く。

                             そんな時父はそれを母と二人だけで食べるらしかった。

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                                   それはのチョコレートだったり、チーズだったり、

                             ビスケットだったりした。

                                                           柏原兵三  『幼年時代』
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                         日曜日のなど母は父に特にたのんで、

                           父の書斎を退出する時、それらを分けてもらってきて、

                             私たちにお裾分けしてくれることがあった。

                              するとそれらは私たちに、の中にこんなおいしいものはないと思われるような

                                がするのだった。

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                        父の書斎に入ることは厳重にじられていたにも拘わらず、
                  
                               私たちは時々した。


                          caffarel (2)
                                                              caffarel


                  そんな時はず机の抽斗を開け、

                           どんなおししいものがわれているかを確かめたが、

                                         それを食べるはなかなか出なかった。


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                                  父の書斎に忍び込んだ時、

                        私はいつも父の大きな机の右のに置かれているの辞書を

                            そっと拡げて、グラビアの図版を眺めてしんだ。


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                                                    sogou museum


                            、私は図版を見て楽しむほかに、

                          この辞書の重大な利用価値を発見した。

                      この辞書に花びらをはさんだらすばらしいができるだろうと思いついたのである。

                   治郎兄さんが夏休みの宿題に押花をしたのを見てから、

              私は押花のに目覚めていた。     

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                  早速その思いつきをに移すことに決め、

                        庭に行って花びらの種類をできるだけたくさんめてきた。

                                  そしてそれらの花をウエブスターの辞書の中に種類ごとに分けて挟んだ。


                                 チーズ1                                                  
                        

                        ふと私は父の書斎机に、蔵うのを忘れたのかが蓋を開けたまま、

                        ナイフと共に置かれているのをした。
 
                        私はチーズが大好きだった。

                                                繝√・繧コ・兩convert_20170410223246
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                        く切ってひときれ食べても

                        分りはしないだろうという考えが頭に浮かんだ。


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                                                 IMG_0206_convert_20170428153052.jpg
                                                   

                               すでに四分の一位っているチーズにナイフを当てた。

                        しかし下まで届かないうちにナイフはチーズのをそいでしまっていた。

                   今度は思い切ってく切ることにした。

                        切り落としてみると、チーズのり方はかなり目立った。

                             しかしチーズはしかった。


                                                  41R_AyxGFoL__SL200_.jpg
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                        二日おいて私が父の書斎に忍び込んだ時は、

                            チーズはもう半分以下にっていた。

                               私が食べたことは見つからないで済んだのだ。

                            父がナイフを入れる時に、前回ナイフを入れた時よりっていることに気付けば、

                        当然私たち兄弟の誰かのだということが分る筈だったからである。

                            私はして一切れ切ってべた。

                                                       
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               私たち兄弟に時ならぬがかかった。

                   に言いなさい。

              お前たちのうちか、お父さんの留守中に書斎に入って、

                   お父さんが机の抽斗に蔵っておいたチーズを食べたろう。

                        虎雄、食べたか。 父は言った。
                         
                              。虎雄兄さんはさな声で承認してうつむいた。

                        治郎はどうだ。
 
                              はい、し食べました。

                        少しってどのくらいだ。 

                                 チーズ8
                                                    
                        一日おきに一切れ位です。

                        潔、お前は食べなかったろうな。

                        、食べました。

                        母がき出したいのをこらえているのが分った。

                                                                     『幼年時代』

                                 チーズ5
 
                                                      
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     の一冊

               Livre de karo

                                 砂山にを絞りいる  増田まさみ

                    さくら砂 井上晴雄
                                                                   井上晴雄  

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                                増田まさみの句集『』―ゆうし―は白い表紙に黒い刷り。

                       ひとことひとことは透きとおりぎ澄まされていほど。                       


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                                       つばき03


                                      猫の眸に色なき椿落ちゆけり
 
                             春雷やの似合う人だった
                         
                ゆきやなぎ鞭打つほどのでなく                            まさみ

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                 ここにはきわめて個人的な関係、が詠われているのですが、

                      れた女性の言葉がいつもそうであるように、

                           まさみ句のには、深く広いシンパシー、への共有意識が流れています。
 
                   どうぞ、こんな風にも読んでみて・・・。


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                   おもかげのせればす桜貝    まさみ

                          桜貝とは、であるのかも知れません。


                                             127177666510116419492_2010_0420sapphire0021_convert_20170412222607.jpg
                                                                時空を超えて                              

              燃えさしのをくわえ鳥渡る  まさみ

     一本のをくわえて海を渡るのはimmigrants and refugees 移民や難民となった人たち。 彼等にあたたかく。 

                        かもめ


                  わけもなくいたらあかん凧  まさみ

                                          は孤児でしょうか。


                                                   ねこ少女5

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                                          josuikan


                     で見てでも見る揚雲雀   まさみ

                             此岸は、彼岸は。揚雲雀はどちらもっている。                               

                               
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                             花筏手のる方へ行ったきり   まさみ

                                          の行く方向をぶんでいるよう・・・。
                                  

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                      砂山にを絞りいる  増田まさみ

                           絞りだす色の絵具は、きっとわたしたちの可能性のこと。


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    歳時記
              saison de karo 

                             しき人しく老い桜餅   山口青邨


                         IMG_0164_-_繧ウ繝斐・_(2)_convert_20170405161806


            さくらもち6
                            Mark Rothko 
                           

                       はオイシイ。

                          その形状は、関東と関西では全くなっている。


                        さくらもち1kininaruneta
                                                  kininaruneta

                                  関東ではクレープの生地を二つ折りにしたような感じ。

                  関西ではつぶつぶ感のある丸餅のような感じである。

                            この違いのは、一体どのあたりなのだろうか。
  
                                    想像するとしい気分になる。
                  
                                                          金子敦 「桜餅」  


           ねこコンサート (2)


           さくら餅でも入つてないか   関根誠子

                           小判が入っているのは関東風?関西風?


                      
                                        さくらもち5ミチル日々
                                                            ミチル日々   


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                                       加山又造 
             

                          よりも先死ぬひ桜餅   高田風人子  

                                 さまもさまもお元気で・・・ネ。


                          さくらもち4koukisinn
                                               koukisin 



                         それから、巻いてあるを、食べる人と食べない人がある。

                                 食べる派、食べない派の割合は、一体どのくらいなのだろうか。

                         それを考えるのも楽しい。という訳で、

                                     は一個で二度オイシイ和菓子なのである。

                                                            金子敦  「桜餅」 


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                                  桜餅食べたる息をましけり  岡田耕治 

                           味もさることながら、桜餅には食べ物をした何かが潜んでいるようです。



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                        桜もちの話に立入らず   稲垣きくの  

                             だまって食べると・・・ついもう。 


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                                     Mark Rothko 


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                大風の障子しぬ桜餅   芥川龍之介   

                               外は、室内はさくらもち。   

                                                  さくらもち2