へのアプローチ                  松下カロ



                           美濃の鯉の墨ながしけり 豊口陽子 


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              哲学者(男性)は
                  「は死んだ。・・・ニーチェ」と述べるが、
              作家(女性)は
                  「わたし、もう様を信じないわ。・・・ボーヴォワール」と言う。

              これは、神父が神の内在を(教義)によって証し、
              尼僧は(純潔)によって証すことのネガティヴである。

                                                           女神の言葉 『儒艮』13号


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                                                 ヴィーナスの生誕



              シモーヌ・ド・ボーヴォワールは幼い頃「大人たちの語る神はだ。」と気付き、
              そこから意識のが始まったと書いた。
              後年、彼女は圧巻のモチベーションで女性の本質を活写する。
              神を失うことを起点に、は自由を知り、自ら女神、ミューズとなった。

                                        img_6_convert_20150712203535.png
                                 
                                                            の手



                                          
                                        
              ボーヴォワールの範例に沿って(性急だが)女神を自由の発信者であると定義したい。
              とは、例えば読解において如何なる外的制約も受けないことである。 

              

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                                    ヴィーナスもはや貫禄・・・にすると・・・・。



                                   女神

                                            
                              女神はなぜか・・・。                     
                                   皆さん頭をずーっとに倒して目の位置をよーくて・・・。
                  

         ヴィーナスの髪

                    女神の

                       
                    書かれた言語の読みはいかなるも排除せず、限りなく自由である。
                    しかし、我々はそれを忘れがちだ。

                    知識やプライド、時に嫉妬、賛意さえもが「読み」のポテンシャルを規制し、
                    読む者を自由から遠ざける。

              の言葉は、そんな読解喪失者、リーディングロストを再び自由の領域に誘ってくれる・・・。


                                                     20090206_481289.jpg

                                                        の足



                  KOI


  
                      美濃の相聞の墨ながしけり   豊口陽子 『睡蓮宮』
 

                     は女神の別称である。
                     浮かんでくるのは、  

                            谷にもみ合う夜の歓喜かな   金子兜太 『暗緑地誌』

                     鯉の位置。墨と夜。相聞と歓喜。

                    何よりも二句に応同するのは、
                    よどみない調べに乗せられた命と愛執への(陽子は静かな、兜太はむきだしな)であろう。  

                    兜太の鯉はカップル(または群れ)だが、陽子の鯉はただ(一個)を感じさせる。
                    オ音が支配的な「美濃の鯉・相聞」の「おおお・。」とずる風情、
                    音感の偏向は形而上の思感を動かし、色の、あるいは純白の鯉は、
                    孤閨を悲しみ物思いに沈むに姿を変える。



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                                                    女神の

                                    


                                   


                という古雅な詞と隣り合っている以上、鯉はでもある。

                「美濃の鯉」は「美濃の恋」であると妄想すること、これがだ。
                この自由を伴って句のイメージは流麗に展がってゆく。

                美濃、現在の岐阜県は奈良期に遡るの産地である。
                鯉(恋)は、手漉きの巻紙に「」草書体で身をくねらせる。
                そこに綴られるのは、連綿たる相聞歌が添えられたでなければならず、
                仮名文字の墨は、当然のことながら「く」なくてはならない。
                (無論、そうでなくても良い。自由には縛りがないのだから。)



                                         応挙


                          三美神

                        美神 すなわち愛、美、貞潔・・・・鯉、恋、濃い。

                   
                         女神の言葉はかくも広域な読意をもたらし、
                我々は「」は「」であり「い」でもあったことを知るのである。

                                                                  『女神の言葉』

                                     
                            ディアナ

                                                                                     
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          今月の   Chat du mois
  
                   Chat juillet   月のねこ


                                         化け猫に見られて僕はする  園橋軒太郎      


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          山奥にという化け物がいて、人をうそうだ。

                ただの猫も年を取ると、に変わってしまうことがある。


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                                                                 河鍋暁斎                                 


                この辺りにも襲われたものがあるらしいから、

                        ひとりで出歩くときはをつけた方がいい。                

                             ある師がこんな話を耳にして、ろしいことだと思っておりました・・・。

                                                         兼好法師 『徒然草』                           


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                                            ねこまた4

                                                     兼好法師先生ショット  


                       ねこまた5

                                                                         

                    ある遅くまで連歌を楽しみ、ひとり帰ってくると、

                             なんと、そのに行き遭ってしまったのです!!!

                                       は法師に襲いかかり、首のあたりにかじりつきました。


                               縺ュ縺薙∪縺・驥懆ーキ鄒守罰邏€_convert_20150701020948 - コピー                                    
                                                                釜谷美由紀 photo                                 

                法師はきのあまり正気も失せ、力も抜け、逃げようにも足が立ちません。

                とうとう傍の小川にはまり込んでしまいました。  

                「猫またがでた。けて! か、助けて・・・。」

                夢中で叫ぶと、近所の家々からを持った人々が駆けつけて・・・。
                                                

     ねこまた7


                「これはこの辺りの法師ではないか。一体どうしたというのだ・・・。」 

                    みな驚いて、川から法師をけ上げてくれました。

 
                                                    ud-00102000100_2_convert_20150703042125.jpg

                                

                    連歌の集まりでもらってきた扇子や小箱などもすっかり水にぬれてしまいましたが・・・。

                ともかくからがら家に帰りつきました。

                                       ねこまた 犬                                      


                        ・・・法師が飼っていたが、飼い主が戻った気配に飛び出し、

                                じゃれついただけであったということです。 

                                                                    訳カロ


                        
                                         稲垣仲静


                                       ・・・もしかしたら・・・・。
                                           

                          縺ュ縺薙∪縺滂シ胆convert_20150628092837

                                                

           歳時記  
                     saison de karo 

             
                                  うろたえて少女の夏のかな 高澤晶子

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                       は、テーブルの上に置いてあったを手にとりました。

                                           は妹のものでした。


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                    近頃、母親から買ってもらったものです。

                 それをテーブルの上に置いたまま、妹は外出したようです。

                ここは、になると観光客が多く訪れる保養地です。

                                                        『げる少女』
                                                               ―コルタサルをまねて


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                           二階の少年の部屋は、そんなに広くないけれど、

                            が見渡せる大きな窓があり、

                              とても気分が爽やかになる、めのよい場所です。

                               ですが、いまはを見るために、ベッドにうつぶせになりました。


                                         blog_import_504c918be6d46_convert_20150622190600.jpg                          

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             のなかでは、少女が野犬に追いかけられています。

               逃れようと、必死に砂浜をけています。
                                                                             
                    い服を着た少女に、五匹の野犬がみつこうとして、迫っています。
                                                              
                                        
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                                           迥ャ・廟convert_20150622023443
                                        
                  
                  のぺージをめくると、

                                 恐怖にひきつった少女の顔が描かれていました。


                      Egon_Schiele-Sitzendes_Madchen-1911 (2)


                                           6b4e9c8d-e1421848088250_convert_20150622032305.jpg

                           
               そのぺージは、恐ろしい形相の野犬の姿でした。                              

                        のページでも、少女がげています。

                                         sgf01a201403241800.jpg

                                           野犬は追いついていません。


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                                   おかしいな、と少年は思いました。

                                      砂浜をげるのだったら、そんなに速く走れないはずだし、

                                          スピードをだす野犬がすぐ距離をめるだろうに?

 
                                      キリコ


                    これは映画やテレビドラマでよくある手口だな。

                         主人公は危機に襲われるけれど、して命を落とすことはない。

                               観客をさせておいて、ドラマのわりまでひきつけておく・・・。

                                      結局は助かるという筋書きなのさ。


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                              い服なんか着るから、犬が興奮するんだ。


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                             ・・・人気のない砂浜をげつづけた少女は、

                               やっと家が数軒かたまって建っている辺りへやってきました。

                                             風林が目にはいりました。


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                      あの防風林を抜けたら、どこかの家に飛びこもう。

                大人を呼んで、恐ろしい野犬をい払ってもらおう。

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                     少女は、まっさきに眼についた家へ向かいました。

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                                き出しそうになりながら、飛びこみます。

                         二階へつづくがあります。

                  少女はバタバタと音をたてて駆けのぼりました。

           のぼりきったところにドアがありました。ドアは半分いています。


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            少年は物音に驚いて、もうべッドから起きあがり、傍らに立っていました。        

                  突然現われたい服の少女に、をまんまるに見張りました。

              その瞬間、ドヤドヤと階段を踏み荒らす音が家いっぱい鳴り響いたかと思うと、

           野犬の群れが部屋のなかへびこんできました。

                                                       『げる少女』  「左庭」30号


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