歳時記 

                saison de karo 114


                          春愁の通り過ぎゆく青電車    山川和子
                                                  
                    
                      豸呻シ托シ狙convert_20150325000047


                                      赤坂見附

                                    
            
             ぼくが赤坂見附から銀座に出ようと地下鉄丸ノ内線に乗った時のことだ。
             
             ちょうど、午後三時過ぎの空いている時間だったが、

             ぼくが何の気なしに腰かけた席のに、

             ひとりのが座っていた。


                                                 庄司薫 『頭巾ちゃん気をつけて』
                                   
                              
                                        涙5              


             はすごくきれいな仕立てののチェックのスーツを着て、

             うす茶のブーツをはいて、同じ色の小さなハンドバッグを膝の上において

                  (ぼくはすごくよく覚えているんだ。)

             要するにとてもおしゃれなきれいな女性だったのだけれど、

             どうしたことだ、いっぱいにを流して泣いていたんだ。


                 涙8

                                       涙09

                                                

             それもハンカチーフや手でを押さえてとかいうのでなくて、

             を向いて、手はバッグをかかえたまま、

             とにかくまわりのことなんて全く目に入らないように、

             あとからあとからあふれ出るで顔中をぐしゃぐしゃに濡らして泣いていたんだ。


                                                スーツブルー                      

                涙17


                    これにはぼくはもうすっかり驚いてしまって、

                      まさにと口をあけてながめてしまった。

                        もちろんぼくだって、人間が時にすごくくものだということは知っている。

                    それに、

                      こんなことを言うこと自体がまた本当に残念だけれど、

                      ぼくだってくことがあるし、

                    時にはごくごくくだらないテレビドラマなんかでも、

                 つぼにくると、ホロホロいちゃったりすることがある。
  
             でも、まあ、ごく一般的に言って、

                     やっぱり、くっていうのは、特にそれが人前では、

                           相当に時と場合を選ぶべきものなんじゃないだろうか・・・。


                                     涙12



                     ところが、その女性は、人前も何もあらばこそ、

                     堂々というかなんていうか、

                         まったくひとりぼっちで、

                         まったく自分だけのにいるように、

                             ほんとうにもうひたすらを流して静かにしんしんと泣いていたんだ。
                   

                                          涙08


                    涙10

                                        

                   電車は国会議事堂前、霞ヶ関と進んで、

                    その度に新しく乗りこんだ乗客が、彼女を見て驚いてしまうのだが、

                      彼女は全然かまわずにき続ける。



                              なみだ1



                    涙1



                                             涙05


             そして、要するにぼくは、

                (ガールフレンドの由美と映画を見に行くので

                 のウエストで待ち合わせていたのだけれど)

             どうにもりられなくなってしまって、とうとう本郷三丁目まで乗り越してしまった。


                                涙04



             そして、ここで逆に、はそれ以上見ていられなくなって、

             あわてて降りてしまったというわけだ。

             何故かといって、(すごく生意気みたいだけれど)

             一人のが目の前でこんなにも悲しそうにいていて、

             それなのに、そのになにもしてやれないというようなことがはっきり分ったら、

             これはほんとうにどうすればいいのだろう。


                                    豸呻シ托シ農convert_20150325004013


                                           涙010                                                                           



             もちろん、どうしました?なんて、そばに行っていけないことはないけれど、

             彼女のき方には、そんな「釣れますか?」などと声をかけるようなことが、

             全く無責任だと思わせるようなそんな何かがあったんだ。

             彼女に声をかけるとしたら、彼女がそれこそき止むだけでなく、

             彼女がすっかりせになり、

             毎日底抜けに明るい笑い声をたてるまでにしてやると力がなくてはいけないんだ。


                                         涙02

                                          
                   ぼくは、なんていうのだろう。

                     そんな自分の力のなさのようなものにいたたまれないような

                  わけの分らないしさでいっぱいになって、

                     とにかく飛び降りて、

                  それから反対側のプラットフォームに行く階段を上りながら、

             、猛然と断固として一つのをしたのだ。


                                なみだ3


                      涙3


                                   なみだ2        


                                                    
             まあ、笑われるとは思うけれど、

             要するにぼくは女性をかせたりはしないぞ、というものだった。

             ほんとうに断固としてしたんだ。

             女性をかすなんて絶対にしてはいけない。女の子を泣かしたりしては、

             にいけない。ほんとうに、ほんとうにいけない。

                                           『赤頭巾ちゃん気をつけて』   
                                    涙15 
                               ホットケーキ


                                     
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           今月の  Chat du mois

                       Chat mars  三月の


                        ヨカナーンの首を探しに猫の妻   からさわまり   



                             サロメ1



                    ヨカナン   おまえは何者だ。なぜ俺を見ているのだ。

                     サロメ   あたしはだよ、ユダヤの王女。

                    ヨカナン   行け、俺はおまえを見たくない。

                     サロメ   もっと話しておくれ。もっとののしっておくれ。

                            おまえのはあたしをわせる・・・。

                                  
                                                    ワイルド 『


                                    サロメ115


                
                      の王エロドは実の兄王をして王位に着き、

                          兄の妻エロディアスをにする。


                                           サロメ ロデンバック ル・ヴォワル

             サロメ05

                              さらにその娘も手に入れようと・・・。

                                                   サロメ02
                                                                  
                                                 ニャんて悪い王様・・・。

                            サロメ111

                                                  
                                           ヨハネ
                                                                       

                      預言者はエロドの罪状を公言非難したため王宮の牢につながれた。

                               彼の呪詛の声に惹かれたを牢に訪れる。


               落葉4

               サロメ  ああ、あの、父王が恐れておいでの男だね。

                         あたしはあの男と話がしたい・・・。         

                                                      『』  

                               
                               サロメ01
                  
                        
                               お様がそんなとこ行っちゃダメニャン。


                                     サロメ5

                           を決める作者オスカー・ワイルド その生涯はまさに


                  サロメ ねこ2

                       ねこもズ                                                
                                 サロメ6
                                               
                                原作とベストマッチのはビアズリー作


                 サロメ114



          サロメ  おまえはなんて痩せているのだろう。きっとなのだね。
                              
                ・・・ン あたしはおまえのが欲しくてたまらない。

                そのの白いこと、一度も刈られたことのない野に咲き誇る百合のよう・・・。

                
          ヨカナン バビロンの、話しかけてはならぬ。

                俺が耳を傾けるのは、ただのみ声のみ・・。


          サロメ  おまえのの房。レバノンの杉。 おまえのに触らせておくれ。


          ヨカナン 退れ。ソドムの娘。俺に手を触れてはならぬ。


          サロメ  おまえのの実。ティロスの庭に咲くばらのよう・・・。

                おまえのに触らせておくれ・・・。


          ヨカナン 触るな・・・。俺はおまえを見たくない。

                                                             『


                               關ス闡会シ点convert_20150312194222


                      拒絶された
                      

                                             サロメ100


                                        サロメ ねこ

                                      ーい予感・・・ニャ。
                      

                      エロド  りを見せてくれ、

                            なんなりと欲しいものをつかわすぞ。

                  
                      サロメ  欲しいものは、なんでもと?

               
                      エロド  なんなりと、たとえこのの半ばでも。



                             繧オ繝ュ繝。・托シ神convert_20150311203538

                                          踊る・・・なんともセクシー。   


               サロメ00

                                   じゅんこ
                                              ・・・ニャン。

                                            サロメ4

                                 パゾリーニの映画『奇跡の丘』のサロメは素敵な美少女

                                

                      事な舞いのに、

                                を所望する。

                                     サロメ3

                           サロメ  わたくしにの首をくださいませ。の大皿にのせて・・・・。


          サロメ03

                                    え? ・・・・ニャ。
               

                                     サロメ2

              サロメ  ああ、あたしはとうとうおまえのに口づけしたよ・・・。

                    これはの味なのだよ・・・。

                    あたしはとうとう・・・・。  
                                                             『』              

                                          サロメ04

                                      おさまのやることはいニャン。


                             サロメ113

                                                               
 

           カロ歳時記

                   saison de karo 113



                              三月やモナリザを売る石畳 秋元不死男


                                 石畳3



                                    石畳4



              それは、縦3プート、横2プート、あるいはそれよりも少し大きい画で、

              仮の額縁がつけられていた。

              袖付きの銀灰色の衣装を着た、ひとりの若いが描かれていた。

              見る人の方へ顔を向けているそのは、

              やや左の方向に視線を注ぎ、んでいた。

              やわらかなヴェールを通してのように、

              魅力的で謎のようなだったが、

              目をくらますような光がこのから発散していた。

                                            レルネット・ホレーニア 『モナ・リザ』


                                   モナリザ1


             モナリザ7
              

               色の気流がそびえた山々がリボンのようにかかっている背景。

               そのは天国よりも素晴らしいかと思われた・・・・。


                                    モナリザ6


                                              石畳2


                       石畳1




                     そのの顔を見ることができたのは、ほんのかな間だった。

                     の瞬間、目の前でカーテンが閉じられてしまったのである。


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                                    モナリザ5

                          モナリザ3



                        あれはだったのです?

                              でもありません。

                                       レオナルドは言った。

                                             ・・・・・でございます。


               モナリザ4


                                           モナリザ2


                          だと? もういちど見せてほしいが・・・。

                          あれはでして・・・。時々手をいれております。

                          売っていただけないか。

                          完成するまでは売りませぬ・・・いつ完成するやら・・・。

                                                            『モナ・リザ』


                   img_797429_6071081_1.jpg
                                 

                         石畳6


                         このは・・・・。

                       レオナルドは言った。

                         なのです。 ただそれだけです。
                                                            『モナリザ』


                                                   モナリザ
                                      

            

                                             モナリザ0

                                               ですの・・・・。