カロ歳時記 
                    saison de karo 112


                                    美しき夢見てゐしが落椿 今瀬剛一


                         つばき2

                                               椿0
                                                         

                                           

                       女子八百米リレー。

                     彼
は第三コーナーでぽとりと倒れた。


                                    

 
                                                 北川冬彦   『椿


                                            つばき002

                                          
                                           つばき6



                                 椿5

                                               
                  つばき00
                                                                                                          

                  マルグリットの陽気さ、その話しぶりも飲みっぷりも

                     発熱や精神の苛立ちを忘れたいという欲求からきているように思われるのです。

                        彼女がを一杯飲み干すたびに、

                          は熱っぽくみを帯び、

                     夜食のはじめのころは軽かった咳も、やがてしくなり、

                 咳をするたびに、椅子の背に頭をのけぞらせ、

             両手で胸を押えねばならなくなってきました。

                彼女は真っ赤になり、で口もとを押さえましたが、

                    そのナプキンはの血で赤く染まっていました。



                                                デュマ 『椿


                                        つばき000



                                            椿4



                                      サラ_~1
                                                 

                        つばき0000
               

                      が灯され、ソファの上で、彼女は片方の手でを押さえ、

                            もう片方はだらりと垂らしていました。


                              椿3


                     ぼくは傍に坐って投げ出された方の手をとりました。

                     「ねえ、これじゃんでしまいますよ。

                      どうか、からだを大事にしてください。」


                         椿0


                 「からだなんか大事にしていたら、それこそんでしまうわよ。

                  あたしのえは、こんなかれた生活なの。

                  それに、からだを大事にするなんて、

                  ちゃんとした家族のいるさんたちに言うことよ。

                  あたしのような女は、

                  男たちのの役にたたなくなったら最後、

                  それきりでてられてしまうの・・・。」

                                                               『椿』              

                                            つばき4


       
            庭を掃除してたってね。 

               ほんとにと、うまく葉がちる時があるのね。

                   だってそうですよ。

                       椿のって、ぽとっぽとっと落ちるんですよ。

                         下掃いててね。汚く落ちてていやだなあと思って、

                お客さんは何時に来るし、なんて思って、掃いているのね。     
 
              お客の来た時に、ほんとにうまくぽとっとっこちていたりなんかするの。

                             しめたっと思っちゃうのね。

                                                   幸田文 『


                                           つばき3



                        そりゃ、い椿なんか、ひとつぽとんと落っこちていると、

                               なんだか、わざとしたみたいで。

                                                          『


                                                      つばき03


                                                                       
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           今月の 月の猫

                 Chat du mois  Chat fevrier


                                 雑炊や猫に孤独というものなし 西東三鬼

 
                                ぞうすい4

                                                  空腹はに優る。 ねこ
                                                                                                        
                                        IMG_3560.jpg

                                雑炊  
                                                                            

                                     ぞうすい2                                                 

                                   雑炊 スープで炊いてご飯をかために煮れば


                                   ねこ灰色


                      ? 何それ・・。ねこ

                                                  ぞうすい3
 
                                              雑炊                                         
                                          ぞうすい1

                     雑炊 

                                       
                                          ねこいろいろ2

                                          にもにもいろいろあってね。・・・・ねこ  


                               ぞうすい01

                                     雑炊

                                        DSCF4255.jpg
                                     
                            にいても別の方向を見る。・・・これ  


                                                ぞうすい00                  
 
                                                    雑炊  
                                            縺槭≧縺吶>・狙convert_20150114220200

                               雑炊



                                      ねこねる1

                      でも、そうでなくてもくなる。 ねこ



                                          雑炊0

                                                 雑炊                                                                  
                                                雑炊1
                                            
                                 お腹いっぱい。そして。・・・ねこ


                                         
                                   れんげ2

                                                     
 

     カロ歳時記

            saison de karo111


                        手袋の片方海を呼んでいる 城貴代美


                                 てぶくろ3


                                 手袋1



                              てぶくろ1
                                                                                                  

                    二十二歳のときだったと思います。

                       私はひと冬をなしで過ごしたことがあります。

                          勤めて間もなく、月給は高いとは言えませんでしたが、

                             身のまわりをととのえるくらいのことはできた筈です。

                       でも、をしなかったのは、気に入ったのが見つからなかったからでした。

                                                          向田邦子  『をさがす』


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                                                                   手袋4
                                            
                                       手袋5



                    戦争が終わってすぐの、駅も乗物もひどい寒さでした。

                           みな分厚いオーヴァーを着こみ、をはめていました。

                                  一体どんなが欲しかったのか、思いだせません。

                      とにかく、気に入らないものをはめるくらいなら、

                  はめないほうが気持ちが良い、と考えていたようです。
  

                               手袋7


               何時の間にか、わたしが何時を買うのか、まわりの人が気にするようになりました。


               そんなある日、

               わたしに目をかけてくれた人が、残業にことよせて、忠告してくれたのです。


                                           手袋1


               五目そばをふたつとりよせ、のたつおそばをすすりこみながら、

               こう言いました。

               君のいまやっていることは、だけの問題ではないかも知れないよ・・・・・。

               としました。


                                           手袋6



               わたしは昔からぜいたくで虚栄心が強い子供でした。

               ほどほどでするのではなく、もっとせば、もっと良いものが手に入るのではないか、

               きょろきょろしているところがありました。


                                      手袋3



             わたしはく健康でした。 親兄弟にも恵まれ、暮らしにも事欠いたことはありませんでした。

                 つきあっていた男友達もありました。

                       あのまま結婚していれば、いわゆる世間なみのせを手に入れていたかも知れません。

                    にもかかわらず、わたしはしくありませんでした。


                                             手袋10



                 わたしはをしたいのか。それさえもはっきりしないままに、

                           ただ漠然と、このままではだめだ、のままではいやだ、と、

                                     手のとどかない現実に腹をたてていたのです。


                                         手袋8


              たしかに、だけのことではありませんでした。  


                                                 手袋001
                                                  

                         ・・・・・わたしは四谷の通りを歩いていました。


                                          手袋9



              の匂いにまじってちゃんの泣き声、ラジオの音。

              十人並みの容貌と才能なら、上を見るかわりに下と前を見て歩けば、

                   きっとほどほどのせは来る・・・。


                                      手袋0


              、わたしは、このままで行こう、とめたのです。


                  そのから、新聞の求人広告に目をこらしました。

                       そして、「編集部員求ム」の広告に応募してしました。

                            ぜいたく好きと叱られて、ほどほどのものでするのもやめました。


                                  手袋2


              三か月分のをたった一枚の水着・・・・

              アメリカの雑誌で見た競泳用エラスチック製の水着に替えたのもこの頃です。

              そして・・・・。

              か不幸か、えようがありません。

              今の自分にもがあります。年と共にずるくなってゆく自分。

              地道な努力もなく、貧しい才能へのひけ目。


                                          てぶくろ4



              でも、たったひとつ、わたしの財産といえば、いまだに

              「を探している」ということです。


                                              手袋2


                                           
              どんなが欲しいのか、それはわたしにもわかりません。

              なにしろ、いまだにこれ一冊あればに行ってもあきない、といえるにもめぐりあわず、

              他のレコードは要らず、という音も知らず・・・に暮らすもなく・・・。
                                                            手袋01



              ないものねだりしているのでしょう。

              でもこの頃、

              まだ合うがなく、うろうろして、少しばかりケンカごしで、しい物を探して歩く・・・。

              そんなき方を少しりに思ってもいるのです。

                                                 向田邦子   『をさがす』

                                                            手袋02