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カロ歳時記 雛の軸おぼろ少女と老女寝て 原裕
カロ歳時記
saison de karo 91
雛の軸おぼろ少女と老女寝て 原裕
ただ過ぎに過ぐるもの。 帆かけたる舟。 人のよはひ。 春 夏 秋 冬。
清少納言 『枕草子』
あっと言う間に過ぎるもの。 帆船。年齢。四季。
時間経つのってホントに早いワ。
うつくしきもの。二つ三つばかりなるちごの、急ぎて這ひ来る道に、いと小さき塵のありけるを
目ざとに見つけて、いとをかしげなる指にとらへて、大人などに見せたる、いとうつくし。
頭は足そぎなるちごの、目に髪のおほへるを、掻きはやらで、うち傾きて、物など見たるも、うつくし。
雛の調度、蓮の浮葉のいと小さきを、池より取り上げたる。
何も何も、小さきものは皆うつくし。
かわいらしいもの。二、三才の子供の、急いで這ってくる途中、小さな塵を見つけ、指に取って、
大人に見せたりするのは、とってもかわいい。
幼い子が、肩のあたりで切りそろえた髪が、目にかぶさるのを掻き上げもしないで、
首をかしげて、ものを見ているのも、かわいい。
雛のお道具、蓮の小さな葉を水面からすくいあげたもの、小さいものはみんなかわいい・・・。
くるしげなるもの。 夜泣きといふわざするちごの乳母。
思ひ人二人もちて、こなたかなたふすべらるる男。
わりなく物疑ひする男に、いみじう思われたる女。
『枕草子』
つらそうなもの。 夜泣きするあかんぼうの乳母。
愛人がふたりいて、双方からやきもちをやかれる男。
疑い深い男に、心底思われた女。
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