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            いなずまのより帰りし猫を抱く 橋本多佳子
                 稲妻1

         むし暑い日でした。

       私は奥さんの膝の上で、縫物のじゃまをし、ご主人は新聞を読んでいました。

      私は奥さんの膝から飛び降り、思い切りのびをすると、彼の前にいって座り込み、顔をあげました。

     彼は最初は気付かないふりをしていましたが、とうとう新聞を置くと、

        おい、どうしたんだい、と聞きました。

      ねこ リアル2

       私はせいいっぱい甘えましたとも。 首に身体をすりつけながらのごあいさつ。

       彼はこれで完全に武装解除です。 私を抱きあげ、膝に乗せてあごの下をくすぐりはじめました。

       私はといえば、のどをゴロゴロならして、膝の上で丸まったり、ぴったり寄り添ったり、

                とろけんばかりの甘えよう。

       ねこなに考えてるの

     ちょうどその時です。 いなびかりがして、雷鳴がとどろき、ザアーッと雨が降りはじめました。

      雨紋

     御主人と奥さんは家中の窓を閉めるため、あちこち飛び回りました。

      しばらくすると雷鳴といなびかりは止みましたが、雨は降り続けました。

       「そろそろ休みましょうよ。あなた、猫を出してちょうだいね。」と奥さんが言いました。

       「何だって?こんな晩に子猫を外に追い出せっていうのかい。」

        「納屋の中なら平気でしょ。猫を家の中に入れちゃだめだって、あなた、言ってたじゃない。」

       「嵐の中に追い出せとは言ってないぞ。見ろよ、まるで木の葉みたいにふるえてるじゃないか。」

    雨5

     私ったら、たしかにふるえていましたとも。

      だって、吹き出したいのをこらえるのに必死だったんだもん。

                          ギャリコ 『猫語の教科書』

     雨花

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