saison de karo 57

矢のように少女は老いて飛騨の夏 津沢マサ子

飛騨の夏3

           飛騨鉄道




少年易老学難成        一寸光陰不可軽
     未覚池塘春草夢        階前梧葉已秋声


     少年老い易く学なり難し   一寸の光陰軽んずべからず
          未だ覚めず池塘春草の夢   階前の梧葉已に秋声

                                         

飛騨の夏5




飛騨の夏2

           飛騨 鎌倉街道



飛騨の夏8





飛騨の夏1

               飛騨 京都大学天文台




飛騨の夏10







飛騨の夏6


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Chat du mois 今月の猫

Chat août 8月の猫

陶枕を愛せり猫のかたちゆゑ 日原傳 

                
ねこ枕4

                   自分も寝てる


ねこ 陶枕1



                     寝てる


ねこ枕1

          やっぱり寝てる



ねこ 陶枕3


                            本物も寝てる

                   


ねこ枕2

             
         起きてるけど、これはごまちゃん



ねこ清少納言花柄シーツ

                        寝てる・・・・。




ねこ 陶枕2

        
     残暑お見舞い申しあげます。
    みなさんもよく寝てネ。
                     ねこ







saison de karo 56

カロ歳時記

蚊帳あたらし蒼茫として夢来る 畑耕一

蚊帳1

貧しい娘が貧しい家のニ階を借りて住んでいた。
そして、恋人との結婚を待っていた。

しかし、毎日ちがった男が娘のところへ通って着た。
夜、男たちは誰もかれもきまって言った。
「何だ、蚊帳もないのか。」
「すみませんわね。わたしが、夜通し起きていて蚊を追って差し上げますから、ごめんなさいね。」
娘はおどおどして青い蚊取線香に火をつけた。

珍しく老人が貧しいニ階へあがって来た。
「蚊帳を吊らないのか。」
「すみませんわね。わたしが、夜通し起きていて蚊を追って差し上げますから、ごめんなさいね。」
「そうか。ちょっと待っていてくれ。」


蚊帳6



老人は梯子段を下りて行ってしまった。娘は蚊取線香を焚いた。

老人が戻って来た。娘は飛び起きた。
「ほう、感心に吊り手だけはあるんだな。」
老人は真新しい蚊帳を貧しい部屋に吊ってやった。
娘はその中へ入って裾を広げて歩きながら、さわやかな肌触りに胸をおどらせた。

「きっと、戻って来てくださると思って、電灯を消さずにお待ちしていましたわ。」

娘は幾月ぶりかの深い眠りに落ちた。朝、老人が帰るのも知らなかった。

蚊帳3


「おい、おい、おい、おい。」
恋人の声で目が覚めた。

「いよいよ明日結婚できるぞ。・・・・うん、いい蚊帳だ。見ただけでもせいせいする。」

言うなり彼は蚊帳の吊り手を皆外してしまった。
そして、娘を蚊帳から引っ張りだして、蚊帳の上へほうり投げた。

「この蚊帳の上へのっかれ。大きい蓮華みたいだ。これでこの部屋もお前のように清らかだ。」

蚊帳5


娘は新しい麻の肌触りから、白い花嫁を感じた。

「わたし足の爪を切るわ。」

部屋いっぱいの蚊帳の上に座って、彼女は忘れていた足の長い爪を無心に切りはじめた。

                                    川端康成 『朝の爪』




蚊帳2