FC2ブログ

    歳時記
           saison de karo 

                                 望郷の乾く五月闇 寺井文子 

       台所1


         それはながい間私たち女のまえにいつも置かれてあったもの
         自分の力にかなうほどよい大きさの鍋や
         お米がぷつぷつとふくらんで光り出すに都合のいい釜や
         劫初からうけつがれた火のほてりの前には
         母や 祖母や またその母たちがいつも居た

           台所3

             その人たちはどれほどの愛や誠実の分量を
             これらの器物にそそぎ入れたことだろう
             ある時はそれが赤いにんじんだったり 
             くろい昆布だったり たたきつぶされた魚だったり

               台所5

      台所ではいつも正確に朝昼晩への用意がなされ
       用意の前にはいつも幾たりかのあたたかい膝や手が並んでいた

         ああ その並ぶべきいくたりかの人がなくて
           どうして女がいそいそと炊事など繰り返せたろう?
             それはたゆみないいつくしみ 
                無意識なまでに日常化した奉仕の姿

          台所2

         炊事が奇しくも分けられた女の仕事であったのは
         不幸なこととは思われない
         そのために知識や世間での地位がたちおくれたとしてもおそくはない

      台所4

           私たちの前にあるものは鍋とお釜と燃える火と

           それらなつかしい器物の前で 
            お芋や肉を料理するように深い思いをこめて
              政治や経済や文学も勉強しよう 
                それはおごりや栄達のためでなく
              全部が人間のために供せられるように
              全部が愛情の対象あって励むように
                     
                           私の前にある鍋とお釜と燃える火と   石垣りん

                台所7

スポンサーサイト




    Chat du mois 今月の
                 Chat mai 月のねこ

               林中にの猫かれも神 坂戸淳夫

    ねこ しろねこ3

     全ての猫族は最初野生なりしも、人類の勤勉に依りて飼い馴らされるに至る。

         猫は、飼い馴らされたる種と雖も、猛獣なり。

           野生の猫は殊更に猛獣にして、多くの者の見解に依れば、矮小なる獅子以外の何物にもあらず。

                      ウィリアム・サーモン 『矮小なる獅子、或は猫』

       ねこ 春3

            は神です。   アガサ・クリスティ

     ねこ 白猫1

             猫はです。  ねこ

      ねこ 白猫3

  歳時記
     saison de karo 

                
ガーベラのルイ十四世 平井照敏

                 ガーベラ4

                ロバと王様とわたし  あしたはみんな死ぬ

五月2

                      ロバは飢えて  王様は退屈で

                  五月5

          100パーセント7

                      わたしは恋で

            五月1

                      時は五月

                       ジャック・プレヴェール 『五月』

                ガーベラ2