saison de karo 49

遠霞ココアは舌に浸み渡る
   横光利一

かすみ3


春kokoa1

横光利一は甘党でした。

好物はお汁粉。

お医者さんにとめられてもやめられなかったとか。

おしるこ



腸に春滴るや粥の味 夏目漱石

春okayu4

夏目漱石は胃弱でした。好んで食べたのはアイスクリーム。

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飯になった時、奥さんはそばにすわっている下女を次へ立たせて、自分で給仕の役をつとめた。

これが表立たない客に対する先生の家のしきたりらしかった。

始めの一二回は私も窮屈を感じたが、度数の重なるにつけ、茶碗を奥さんの前へ出すのが、なんでもなくなった。

「お茶?ご飯?ずいぶんよく食べるのね。」

奥さんのほうでも思い切って遠慮のない事を言うことがあった。

「もうおしまい。あなた近ごろたいへん小食になったのね。」

「小食になったんじゃありません。暑いんで食われないんです。」

奥さんは下女を呼んで食卓を片づけさせたあとへ、改めてアイスクリームと水菓子を運ばせた。

「これは宅でこしらえたのよ。」

用のない奥さんには手製のアイスクリームを客にふるまうだけの余裕があると見えた。

私はそれを二杯かえてもらった。

                              夏目漱石 『こころ』




漱石のお友達、子規はずっと病気でしたが、食欲はとっても旺盛。

春揚げパン
子規のお気に入りはねじり揚げパン。


某日

曇時々照ル

朝飯 ヌク飯三椀 佃煮 梅干 

   牛乳五勺紅茶入 ネジパン形菓子パン一ツ(一ツ一銭)

午飯 イモ粥三椀 松魚ノサシミ 芋 梨一ツ 林檎一ツ 煎餅三枚

間食 枝豆 牛乳五勺紅茶入 ネジパン形菓子一ツ

夕飯 飯一椀半 鰻ノ蒲焼七串 酢牡蠣 キヤべツ 梨一ツ 林檎一切


                                正岡子規 『仰臥漫録』


病気のわりによく食べますネ。・・・・「松魚」はカツオです。



子規2

子規画 いちばん後ろは南瓜かしら・・・。

子規1

松山 子規堂内部

レトロな採光 良い感じ。




日本の春の名残や豆腐汁 正岡子規 

春豆腐汁1

汁もの良いですね。やっぱり朝夕寒い日もあるしね。・・・・カロ

春ココアケーキ

ココアむしケーキ  利一も漱石も子規も喜びそう。

    
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Chat du mois 今月の

Chat avril 四月のねこ

夢のはじめも夢のをはりも花吹雪
 渡辺恭子

蹴鞠8

御階の間にあたれる桜の蔭に寄りて、人びと、花の上も忘れて心に入れたるを、
大殿も宮も、隅の高欄に出でて御覧ず。

ねこ 桜


唐猫のいと小さくをかしげなるを、すこし大きなる猫追ひつづきて、にはかに御簾のつまより走り出づるに、人々おびえさわぎてそよそよと身じろきさまよふけはひども、衣の音なひ、耳かしがましき心地す。

ねこ あかちゃん


綱いと長く付けたりけるを、物に引きかけまつはれるを、逃げんとひこじろふほどに、御簾のそばいとあらはに引き開けられたるを、とみに引きなほす人もなし。

すこし入りたる程に、袿姿にて立ち給へる人あり。紅梅にやあらむ、濃き薄きすきずきにあまた重なりたるけぢめ花やかに、草子の端のやうに見えて、桜の織り物の細長なるべし。

100パーセント2

御髪の裾までけざやかに見ゆるは、糸をよりかけたるやうになびきて、裾のふさやかにそがれたる、いとうつくしげにて、七、八寸ばかりぞ余り給へる。
御衣の裾がちに、いと細くささやかにて、姿つき、髪のかかり給へるそばめ、言ひ知らず貴にらうたげなり。

わりなき心地の慰めに、猫を招きよせかき抱きたれば、いとかうばしくて、らうたげにうち鳴くもなつかしく思ひよそへらるるぞすきずきしや。
                               源氏物語『若菜』


蹴鞠1



櫻のはらはらと散る昼下がり、宮中では貴公子たちが集って蹴鞠の宴が催された。姫君、女房方も帳の影から、お目当ての殿方の御姿を一目見ようと縁近くまでお出ましになる。


蹴鞠10


と、その時、唐渡りの仔猫と、その後を少し大きな猫が追って、二匹が御簾のなかから走り出た。

ねこ 桜2


女官たちは驚いて右往左往、さわがしい衣ずれの音が聞こえてくる。
猫の首にかけられている長い紐が何かに掛かって、御簾の端が持ちあがってしまったのだ。室内の女人方の様子は丸見えだが、皆逃げ回るばかりで、誰も直そうとする人はない。

蹴鞠6


蹴鞠衆のひとり太政大臣の子息柏木の君がふと見ると、御簾の陰に袿姿で立っておられる女人がある。お召しになった内衣は紅梅色の濃淡、紙を色とりどりに重ねた草紙を横から眺めているよう。上着は模様を織り込んだ櫻色、その花やかなこと。


蹴鞠4


髪は身の丈より七、八寸も長く、ふさふさと切り揃え、糸をより合わせたように豊かに垂れている。お召し物の端が余るほどに小柄でほっそりとした容姿、髪のはらりとかかった横顔も、言いようもなく気高く可憐である。

源氏の君の年若い奥方にちがいない・・・・。

やがてその方はそっと奥へ入っていってしまわれた。

蹴鞠11




・・・・・もう一度お顔が見たい。
柏木はぼんやりと立ちつくす。

気がつくと、先ほどの猫が紐を解かれ、足もとにいるではないか。やるせない心を紛らそうと猫を抱きあげれば、よい匂いがして、ひとなつこく鳴くのも、まるであの方ご本人のような気がして、手放し難く思うばかり。

                                        カロ訳


蹴鞠9

お騒がせしました・・・・。ねこ


saison de karo 48

かの少女きんぽうげ科と思ふなり 中尾壽美子

きんぽうげ2



あなたには好みの女の子のタイプがあるかもしれない。

100パーセント3



例えば足首の細い女の子がいいだとか、やはり目の大きい女の子だなとか、

絶対に指の綺麗な女の子だとか・・・。


100パーセント4



よくわからないけれどゆっくり時間をかけて食事をする女の子にひかれるとか、そんな感じだ。


100パーセント9




「昨日100パーセントの女の子と道ですれちがったんだ」と僕は誰かに言う。



100パーセント1


「ふうん」と彼は答える。「美人だったのかい?」
「いや、そんなわけじゃないんだ」

「じゃあ、好みのタイプだったんだな」
「それが思い出せないんだ 目がどんな形をしていたとか、胸が大きいか小さいかとか、まるで何も覚えていないんだよ」
「変なものだな」
「変なものだよ」

きんぽうげ




「それで・・・」彼は退屈そうに言った。「何かしたのかい、声をかけるとか、あとをついていくとかさ」
「何もしない」と僕は言った。

「ただすれ違っただけさ」


100パーセント5


村上春樹 
『4月の晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて』


この句は

かの少女毛莨科と思ふなり 中尾壽美子

               として発表されたものです。毛莨はきんぽうげです。 カロ

100パーセント6