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       の一冊 
                livre de karo

                                        れ日の中から少女  中村克子

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                                                          レオナルド・ダ・ヴィンチ 『受胎告知』

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                        木漏れ日の中からあらわれたのは、一本のを手にした天使。                 
                             
               少女と聖五月、甘やかな組み合わせで思い出すのは、 レオナルド・ダ・ヴィンチの「」です。 

                        
            あじさいゆり

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                     天使のむこうには、こちらものように初々しいマリア。

        五月のある日、マリアの前に天使が降り立って告げます。 あなたに子供が生まれます。 彼はの子です。

                    ! 荒唐無稽なお話ではありますが、カトリックの信仰はここから始まります。

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           天使  あなたにお子さんが・・。                               マリア え? ぼう然。

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                                                                     『受胎告知』         

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               さんの新句集『』。

                  ふかく静かな言葉。 とした言葉。 おもいやりに満ちた言葉。

                          そして、すこし言葉が満ちています。

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                                     影を出てなりぬ夏の蝶  克子
                                                   蝶はやさしくなるためにんでいる。

                          出てへ戻る  
             行ったり来たりはしい。そして、ちょっとい。

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                                            梅漬ける石を二つのせ
                                                    石がというところが決め手!

                              のかたまりとして金魚玉 
                       その中で、今日もかに金魚が泳ぎます。 

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               男らが昭和のれてくる 
                           いなせなの男性か、と思ったら・・。

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             黙って見守ってくれた夫に感謝しております。  中村克子
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                    集のに記されただんなさまへのお気持ち。

                               昭和のを連れて来るのは多分やさしいだんな様ですネ。

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                     がいっぱい夏帽子の中 
                            だからあんなにかしい匂いがするのか。    
                  
                                        夏の花 帽子

                                        行ける大きな夏帽子
                                  思い出のあのまで!

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          数多の作品から選ばれて現代俳句協会年度賞を獲得した連作「」30句は集中のハイライト。

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                                  は人恋うる十三夜 
                                         距離は

                        見えぬものいかけてゆくしゃぼん玉
                                 しゃぼん玉も

                               にんげんをれてゆきぬしゃぼん玉
                                      しゃぼん玉はれ。

                     もう逢えぬなり鶴瓶落しかな
                                        距離もれ。 
                                                                「沈黙は距離」30句より


       、そしては、あとになりさきになり、人生のいろんなページを映しているみたい。

                            シャボン玉

                                              a0017634_23433_convert_20160307060812.jpg
                                                  
            どんな言葉も、中村さんが句にすると、生まれ変わります。

                     彼女に選ばれた言葉たち、ですね。

                               れ日の中から少女五月  克子
                                        なる五月。そしてなる少女。

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                   レオナルド・ダ・ヴィンチの『受胎告知』は、フィレンツェ、ウフィツィ美術館の

天使は静かに首を垂れ、 はしっかりと顔を上げ、なんと気高いことでしょう。

      この作品は数十年前まで 「レオナルド・ダ・ヴィンチに影響を受けた画家のれた一作」とされていました。

  近年、ダ・ヴィンチのデッサン帖に似たが見つかったことなどから、ダ・ヴィンチ作品と断定されるようになりました。

            日本にやって来た時も、なかなかの盛り上がりでしたが、疑問点のもあります。

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                                                             もきれい。
                  
                    い日のダ・ヴィンチの作品であるかどうかはともかく、

       イタリアルネッサンスがもっともいた時期の天使とマドンナ、ふたりの美少女であることはたしかです!

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                        れ日の中から少女  中村克子
                    中村さんおめでとうございます! 『』わたしのたからもの!

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                                               tubame2 (2)oo
                    
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       の一冊
              livre de karo

                              理由もないが踏みつぶす  赤石忍

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                                           1小 (4)

                     の花る堕天使の裸体絵図     忍
                いたします。 天使

                           1小 (2)  kirin1.png  1小

                                                の花話の腰をるキリン
                                                              すみません。 キリン

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               さんは長年のキャリアを持つ編集者。 のため、男性です。

                  この度上梓された俳句とエッセーの素敵なコラボ、『にとっての』。

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        石川くんとはか? 読者をそそる題名はどこから来ているのでしょうか? それはともかく(と、勿体つけて)、

                    句は理屈抜きに面白い。 そしていつまでも心に残ります。 
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                         を飛ばす地球は爆裂す
                             ソラマメでるたびに爆裂しそうです。
 
                                         に地球丸めて花祭  
                                、地球はぐちゃぐちゃに。             

                                         requestreduce (2)syou     

             編集者生活で鍛え抜かれた文章のえは・・・爆笑また。そしてときどき。 

                      ちょっぴりごしましょう。

                         home,s
                                                    homes


   東京に出てきたばかりの頃、知人に「で会おう」と言われ、 「そのラーメン屋、どこにあるの」と聞いて笑われた。

              その連想はたぶん、幼い頃、漫画で読んだ「王貞治物語」に起因しているのだろう。
    
                    王選手の実家は、中華料理店「」。 

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            そう言えば、「東急ハンズ」という店の名も、 「」と間違えたような気もする。

          昔、会社にいた先輩のKさん、・・・新宿のジンギスカン店で肉をたらふく食おうという催しの時だったと思う。

            さんざん飲み食いした後、彼の言った一言。 牛肉はうまいなあ。 

                                                                 赤石忍 「勘違い」
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                                            ホームラン!
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                                          い頃は童謡の歌詞のい。

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          「」の一番、「兎追いし彼の山」。 これを「兎の山」と連想する子供も多く、

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                   友人は二番の「恙なしや友垣」をどんなかと思っていたそうだし、

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          或る人は『浦島太郎』の「帰って見ればこは如何に」を「」とずっとイメージしていたと言う。

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            私も、故さんの句 「相沢も児童合唱団」が句会に出た時、

          「相沢も」と読んで天に入れたが、「相沢もいた」で切れると知って、思わず赤面した。

                                                                赤石忍  「勘違い」
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                                       天上の空も夏空、くん  忍

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                 ピエロ・デラ・フランチェスカ(1416?~92) キリスト生誕の天使たち National Gallery

                   『にとってのくん

             この題名は、早世の画家(1946~1985)の代表連作、

                   「私にとっての」からきています。

                     イタリアルネッサンスの世界に傾倒した有元利夫。

            ことに彼がせられたのが、強い造形のフレスコ画を遺したピエロ・デラ・フランチェスカです。

   有元さんは天才と言われていますが、生前少しだけお話したことのあるカロにとっては、むしろ地味なの人でした。

                     1976ラルゴ
                                              有元利夫 「ラルゴ」 美術出版社画集より  

           前期イタリアルネッサンスの持つアカデミックな美しさを現代にさせようという試みは、

                               有元さんの死で途切れてしまいます。   カロ

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    のタイトルは、・・・画家有元利夫の連作「私にとっての」の模倣である。 

                         極私的といいうほど大それた意味合いはないが、

           実態が在りそうで希薄な、としている仮定の存在に近いくんを、

                 詠むそして記す、私だけの対象として求めた。それはまさに平面的であり、

                          とても俳句的な感じがしたからである。
                                                            赤石忍  あとがきに代えて  
                                1小 (2) 
                     
                                  くんは比喩である

                     はタリラリランですくん

                                かつて人はだったというくん
             1小 (4)                         

                      な赤石さんは寓話のような書き方しかしていませんが、

     くんは大切な友人、見がちで、いつかすばらしい小説を書くのだ、と言いつつ、早く亡くなられた人のようです。

           これから、という時に逝かれた有元さんと石川さんが、赤石さんの中でなっているのでは?
                                                                          カロ                              
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                                有元利夫 陶人形  美術出版社             

               、楽しく沁みる俳句をさらに・・・。

                  雲はかぶべくしてかびけり 
                              ルネッサンスのが見えます。

                           1979思い出を運ぶ人 美術出版社
                                                有元利夫 「思い出を運ぶ人」1979 美術出版社     
       
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                               諏訪さん4 (2)小 animal_dachou1.jpg 151-thumb-140x140-214小さい

                ぼこりは眼鏡をかけたまま
                         忍さんも眼鏡をかけておられます。 春の埃の中の駝鳥は忍さんに思われて。  


                            半熟のは青き手榴弾
                      半熟のレモンはどんなに美味しいでしょう。 

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                    犬掻きでるつもりか、オイ!
                             犬掻きで世間を渡るの、とっても楽しそう。
                                151-thumb-140x140-214小さい
                                      春今日もるく引き篭り
                                         暗く引き篭もるより良いですネ。 
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                                 理由もないが踏みつぶす  赤石忍
                                                みたい。                                

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                                 はすぐそこ!  カロ                           
                                                   151-thumb-140x140-214小さい (3)
          
 
  の一冊
         livre de karo                                 
                               に読む汝や母系の   伊丹三樹彦               

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                                                     伊丹三樹彦句集 『』      


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                                                     ルノアール                           

                           小学校へ上がったばかりの、冬のだった。

            うち中ってお出掛けというので、私ははしゃいでいた。・・・の服を着られるのも嬉しかった。

         121208msyou.jpg ぞうりsyou onnnanokokutu1.png kutusyou.png 

    玄関にうち中のをならべた。 父の靴のりは母の草履で、分厚いコルクの上に畳面がのっていた。

          玄関の正面には帽子掛けがあり、私のグレイのフェルトに黄色のリボンのと、

      弟の黒い帽子、父の中折れが並んでいた。 が届かないので私は何度も飛び上がり、帽子をとろうとした。 

                              150235msyou.jpg bousi3syou.png 

    やっと手が届いたと思った途端、帽子掛けが外れて落ち、私のを切った。 それから後は全くにない。

                   こういう場合、父はするたちなので、おそらく母に八つ当たりして、

       私を医者に担ぎこみ、その夜のお出掛けはになったにちがいないのだが・・・。
                                                               向田邦子  「

                               bousi.png


                   さんは1920年の生まれ。 来年2月で歳になられます。

             指にあまる句集をお持ちですが、このたび刊行された『』は、

                 長年の句歴のそれぞれの時代から作品がされて、

             三樹彦俳句をできるスケールの大きなものとなっています。

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                、之を父母に受く。敢て毀傷せざるは、孝の始めなり。                                          
                                                             『孝経』  孔子の言葉

        子どもの身体はお父さんお母さんにとって大事なもの。 自分でも大切にしましょうネ、 と言えば現代的でしょうか。

                  生後すぐに母親とれ、めぐまれた中にも孤独に育ったという伊丹さんの場合、

                          血縁への憧れとしみを表した言葉なのかも知れません。

              そして、作品のなかでは、それが、三人のさんへの愛情として表現されてもいるようです。

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                    三女得て かせて  を鷲摑み  三樹彦
                           
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            には啓子、夏子、凪子さんの三女がある。
         
              長女啓子さんの生まれた当時〈子の口泡ふつふつ春の昼〉と詠って以来、

                 数多くの吾子俳句が発表されている。

                    子を夜酔余の顔寄せて

                       けば子が首に手を纒く 野中

          ・・・こうした親子関係も、娘たちの成長に従い、次第に形を変え、遂にはつぎつぎと嫁がせて、

                 今掴めるものは手元に残った、この一顆である。

                             『鑑賞「身体髪膚」「続身体髪膚」 -伊丹三樹彦の自詠像を求めて-』

                                       同集に収められた愛弟子森洋彦さんの三樹彦鑑賞より
             
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                                           la naige en poems2                  

                    父も母も、傷なく育てようと随分細かく気を配ってくれた。

                       それでも、子供はいもかけないところで、すりむいたりこぶをつくったりした。

                                                  向田邦子  「身体髪膚」
                         コンと6
                             向田邦子

                 作家(1929~81)は、弟をはさんで姉妹の長女。

                    戦争中少女期を送った彼女にとっても、身体髪膚という言葉はしいものでした。

               向田さんのお父さんは、いわゆる未婚の母の子供としてを重ねて育ちました。 

                       勤めた保険会社で、会社始まって以来の大出世と言われる栄達を遂げた父は、

        最初の子供である向田さんをに、そして熱烈に愛してくれました。

              生涯独身であった作家は、お父さんのをいつも胸の底に持ち続けていたようです。
       
                f0746b32363a8730c95ba2bbd8e77ea3 (2)syou               
                    乾いては濡れ   三樹彦  
                         三人姉妹のらしさ、そして無季の強さ。 

                                          IMG_1945 (3)        

                 の妹も、顔に小さな傷をしたことがあった。

            祖母が亡くなってすぐの法事の時だったと思う。 い妹が坊さんのお経をおかしがって、

        笑ったりするので、をあてがわれ、庭でひとりで遊んでいた。
                                                         「身体髪膚」


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    俵屋宗達 松養源院小      
                                       俵屋宗達


           ちょうどこの日、庭師が入り、の木の手入れをしていたのだが、妹が脚立に寄りかかったのか、

                 庭師が上から植木鋏を落としてしまい、妹のをかすめたのである。

                                  ikoyonet.jpg                                         
                
                       妹のき声で、親戚一同が総立ちになった。

              だ! をやられたぞ!

                仁王立ちになって叫ぶ父をき飛ばすように、母が足袋はだしで飛び出して、

                妹を抱きにすると、物も言わずに、隣りの外科医院へ駆け込んだ。
 
                                                    向田邦子  「

                     お姉さんも妹さんも、怪我はたいしたことありませんでした。 かった!

                             1_thumdaityuusyou.jpg

                                      では、句集『身体髪膚』から、の句を・・・。

                               眼は眼 蟬鳴く朝 
                   すきとおるような赤子の。 なぜかしくなる句。

                          畔の子のる一列はたしか                   

                              IMG_0011.jpg

                  かぜの子を眺めおり目めて                          

           くや刈田となりてすぐ
                         子どもと自然は。 自然は子どものためにあるのですね。


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                      の土足を見んと車席攀づ
                  子どもとのが、かけがえのない時間として刻まれています。

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                 に読む汝や母系の   伊丹三樹彦 
                                     長い睫毛は、奥様さんから、お嬢さんたちへ・・・。  

       イルステズ
                                            イルステズ

                             
               印象い句を・・。       

                        この世のを見て来ての 
                                    鳥、そしてのこと・・・。
                                              何千羽いても 羽の

                           IMG_2358 (2)
                                  
              窓の冷えに 額あて える

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                             ムンクが描いたロダンの考える人 ロダン美術館の庭園

                                        える人に及ばぬ 

   
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                       先生 ありがとうございました。  いつまでもお元気で!  カロ

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            の一冊
                livre de karo

                                仏に剥落のつづきをり  細見綾子 『伎藝天』 

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                                                   角谷昌子さんの新著と美しい面立ちの浄瑠璃寺吉祥天女像。                                                                     
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 秋篠寺の伎芸天。 綾子が詠んだのはこちらの由。 胸衣のあたり、剥落の中にかすかな紅が見えますね。


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           『』は、綾子が「日本の言葉との新しい出会い」を求めて授かった、言葉の花束のような句集である。

                     ・・・綾子の場合、無常観に心を縛られるのではなく、 

と思われる対象にも、「不限定」かつ「有限」の美を見出し、心の平安を得たのではなかろうか。

          ・・・身体感覚で感動を描く独自の詩心のである。

                                      角谷昌子  『俳句の水脈を求めて  平成に逝った俳人たち』

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               本稿執筆により、影向や回向、すなわちを慰め、しかも自分を鼓舞するという俳句の力が、

                            平成を通しても見えてきた気がする。

                                 角谷昌子   まえがき ― 俳句の力

    IMG_3432.jpg               
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            30年という平成の、たくさんの俳人が逝去しましたが、            

             さんの 『を求めて 平成に逝った俳人たち』は、

                         まさに終ろうとしている時代をわたしたちに明示してくれるです。

                  い言葉の海から探し出された表現者たちのプロフィル。

        彼女の筆致は。  俯瞰的ながしっかりと守られ、文章にはゆるみがありません。


                               IMG_3395 (3)           

                       や冬日の水脈を織り  古沢太穂
             闘士としての揺るがぬ厳しい姿勢ばかりでなく、人間としてのしさ、
                         詩人としてのかな感受性を味わうことができる。  角谷昌子

                             きねばや鳥とてを払ひ立つ  村越化石
                         雪を払いのける鳥の生命力にまされる。  昌子


                    思想に生きた、病に立ち向かった

             昌子さんのまなざしは、苦難多い人生を生きた俳人にも注がれます。

          び出された人たちは、彼女に、としての自分自身の言葉を訴えかける存在であったのでしょう。


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                          青天のはじめは光りなり  細見綾子


        純真芳醇な句作で知られると、後に夫となる沢木欣一とのいは次のように記されます。

                        第二次大戦中、綾子は長い闘病後、欣一はまだ学生でした。 

                                 IMG_0340(2)_convert_20160922204031.jpg                                   

         学生たちは近いうちに戦地へ赴かねばならず、それまでいかにきればよいかを話し合っていた。 

                綾子は慰める言葉をもたず、散りゆく紅葉を見つめながら、

       「いかに美しくするか。そのことだけではありませんの」と言った。

                この言葉は欣一に衝撃を与え、心からずっと離れなかったようだ。

                                          角谷昌子   「細見綾子  天然自然の柔軟性」  『同書』


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                                                       マリア像も剥落・・。

            は、綾子の代表作、

                              のつづきをり
 
            剥落という言葉につながってゆきます。  消耗も剥落も、マイナーに受け取られがちな言葉ですけれど、

                  女性の表現は、滅びの行程にさえ、を生み出すことができるのですね。   

                      suisenn2.jpg                  
                 
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               に人を好きになれるのは、もう女だけなんですから。  

                                ・・・だね。
                       
                  そうですわ。 女はこともなげに明るく答えて、しかし島村を見つめていた。

                                                            川端康成  『

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           雪の温泉宿に長逗留する男島村と薄幸の芸者駒子。  川端康成の『』は、まことに古風なお話です。

      貧しい生まれ立ち、恩やしがらみにして生きる女性、駒子は、一見、耐えるばかりの弱い存在ですが、

              彼女の言葉には、ときおりの強さと矜持があふれ、読む者を魅了します。

                         ヒロインの生きる「」は、
 
                  綾子が「するだけ」と語ったことと重なって見えるようです。
                        
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          、昌子さんの筆は、綾子俳句のさらに深部に届きます。

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                                    離れもの  綾子

                      生命ののような鶏頭を〈三尺〉を保って見つめるうち、心の拠り所とするさを得た。

                  ・・・社会性俳句の雄であり、鋭い論客を夫に持ちながら、

         当時の風潮に染まらなかった綾子には、侵されない「」感がある。
                                                 
                                              角谷昌子   「細見綾子  天然自然の柔軟性」  

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                                         kiuro

                       冬薔薇く咲かんとみもつ  綾子

                                  れに向き重き辞書繰る言葉は  綾子
                      薔薇も辞書も、対象にせまりつつ、静かなを保ったことばで捉えられていますね。
                                                                                 
                                ひな6
                        
            さんが贈ってくれる言葉のは多彩です。

                         寒い冬をづけてくれる数句をご紹介して・・・。   

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                             雪の日暮れはも読む文のごとし  飯田龍太  
                     あのからの手紙でしょうか。
        

               勤めるはうに似る白息も  鈴木六林男   
                                 そのあとには、癒しとがありますように。 

                     浄瑠璃寺1    
                                浄瑠璃寺吉祥天女像

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                    を出て朝寒のこゑとなる  能村登四郎
                       きびしい生き方がこもる句ですが、可憐なのくちびるかも・・。
            
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                                      薬師寺に伝わる吉祥天画像。 麻布に描かれた天平時代のくちびるが今も美しく。

          仏に剥落のつづきをり  細見綾子

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                                   寒い日、どうぞあたたかく。  遠からじ・・・。   
                                                                       カロ   
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