saison de karo70

吐息とどく近さに春の虹立てり 岸本マチ子



虹3





もまた
まちがうのであった
がずれたり
くいちがったりするのであった
まずしい少女
わたってこようとするものだから
うっかりおとした
洗いたてのブラウスをよごしたのに
ありがとうっていわれる

かたあし無くし
あの冷たい
ちいさなにかえれなくて
狼狽しているのだった

                    青木はるみ 『


虹4





                                  雲の洗濯




                                                                                                                     
虹2





                                        ねこ 虹

                       きれいニャン。
      



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saison de karo 69

突然死望むところよ土筆野に 鈴木真砂女




     おばあちゃん6




          今、地球でいちばん元気なのは、おばあちゃんたちです。
                 





おばあさん1

                 じゃがいもの芽はよくとって。






おばあさん4

                台所は機能的でないとネ。




                   おばあさん7
                      

                           笑顔バツグン。                 


               つくし4





おばあさん2

                農作業に集中。





おばあさん6


                 打ち込むものがあることの幸せ。                                                       





                  おばあさん5




                      帽子キュート。




                  つくし


                     春よ来い。




saison de karo68

図書館を今日も椿に触れて去る 今泉康弘

椿2



ある日私は久しぶりに学校の図書館にはいりました。

私は広い机の片すみで窓から射す光線を半身に受けながら、新着の外国雑誌を、
あちらこちらと引っくり返して見ていました。

すると突然幅の広い机の向こう側から小さな声で私の名を呼ぶものがあります。

私はふと目を上げてそこに立っているKを見ました。

Kはその上半身を机の上に折り曲げるようにして、彼の顔を私に近付けました。

Kは低い声で勉強かと聞きました。





    椿3
 





私はちょっと調べ物があるのだと答えました。

それでもまだKはその顔を私から放しません。 同じ低い調子でいっしょに散歩しないかというのです。


私はやむを得ず読みかけた雑誌を伏せて、立ちあがろうとしました。

Kは落ち着きはらってもう済んだのかと聞きます。

私はどうでもいいのだと答えて、雑誌を返すとともに、Kと図書館を出ました。






               椿




二人は別にゆく所もなかったので、龍岡町から池の端へ出て、上野の公園の中へはいりました。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

私はまず、

「精神的に向上心のないものはばかだ。」

と言いました。

「ばかだ。」と、やがてKが答えました。

「僕はばかだ。」



                               夏目漱石   『こころ』





                   図書館









             つばき1




saison de karo 67

淋しめば毛皮のきつねコンと鳴く  仙田洋子


                       コンと2


                          コン




戦前の話である。
東京、山の手の静かな午後。
奥の座敷で客と家人が話している。
玄関脇の三畳間には誰もいない。 乱れ籠に女客が脱いだ狐の襟巻。

セーラー服の少女が現われる。
無言で襟巻の先の狐の頭に触り、口をパクパクと動かす。

勘の良い少女は、お客が辞す前に姿を消す。

                                 山口瞳 『向田邦子讃』


             コンと3

                       コン・・・・。



                    

                       コンと


                   大正期の先端ガール。


                      



                         コンと7

                          
                            向田邦子さん。



                                 コンと4


                少女時代の向田邦子さん・・のように見えますが、実は別人。


                                                                                                                                       

                              コンと6
                       

                          うつむく邦子さん。
  
             




コンと5


          きつね(ミンクもラッコも)が可哀想ですから、これからは、こんなのにしましょうネ。コン。

saison de karo 66

草の根の蛇の眠りにとどきけり 桂信子


                  
              蛇 デカンタ
             


              


                  冬の野の夕景に
                   
                  蛇たちの眠りはあらわだ



             蛇3


              
                   現前する
                   死の泥をねむる蛇のイマージュ
                   野の涯の崖が突き墜とす夕日へのオマージュ
                   そのように
                   全世界の夕景があぶりだしているのは
                   非在それじしんである



                蛇2



                
                夕景とは
                そこに在らざるものが立ちあらわれる
                その
                束の間の
                全容なのだ



                  蛇1






                冬の野の夕景が
                焦げた血のように赤いのも
                遠くに死の泥を眠る蛇の不在が
                野に
                照り返しているからである
                                        『冬眠』 高岡修

 

         蛇 倉敷